『腰椎の疲労骨折』って治るの?

答え:軽症の場合は適切な治療で治る可能性が高いです

腰椎の疲労骨折・・小学生から高校生ぐらいまでのスポーツをしている方に起こる腰の病気です。

この腰の疲労骨折の呼び方はいくつかあります。

「発育期腰椎分離症」「成長期腰椎分離症」「腰椎疲労骨折」「初期分離症」などは同じ病態です。

最近は磁気を使った検査機器「MRI」が普及して、これに伴い腰の疲労骨折を診断しやすくなりました。

疲労骨折を起こす部位:

腰には五つの積み木のような骨があり、一つ一つを「腰椎」といいます。このひとつの腰椎の中に関節突起間部という場所があり、この部分が疲労骨折を起こします。

『疲労骨折はなぜ起きる?』

疲労骨折を起こす部分に力学的なストレス(負担)がかかり続けるから。

※ストレス・・腰を反ったり、回したりすることと言われています(1)。

腰の疲労骨折を起こす方の多くはスポーツをしています。日常生活以上のストレスが持続的にかかった場合に疲労骨折が発生する、と考えられています。

~腰の疲労骨折の診断までの流れ~

腰痛症状が出てスポーツ活動が難しくなった場合に、整形外科でレントゲンや MRIを撮影することが診断の一歩になります。レントゲンだけで疲労骨折の発見は難しいところです。レントゲンを撮影して問題ないからと言って安心できません。

MRI 撮影すると疲労骨折がある場合、しっかり画像上にうつってくれるので診断がつきます。

まず MRI で疲労骨折部分を把握し、 その後はどの程度骨が負担かかっているか?を確認する必要があります。

これについては MRI では難しいので、 CT 撮影を行います。 CT 撮影すると、骨には全く異常がない場合と少し亀裂が入っている場合、亀裂が明らかに分かる場合、完全に骨折してしまっている場合といった病態が把握できます。

CT により骨の状態が確認できたら、いよいよ治療に入ります。

~治療~

『装具療法』と言って腰にコルセットをつけます。しかし腰痛などで使う布製コルセットではなく、プラスチック製の硬いコルセットを使用します。硬いコルセットなので普通のものと比べ、腰を反ったり回したりという動作をより強固に制限することができます。

疲労骨折の程度にもよりますが、コルセットによる治療を2〜3ヶ月間続けます。この間スポーツ、体育などは中止します。スポーツ選手にはかなりストレスのかかる治療になります(*_*)

コルセット療法を行うと、CTで骨には全く異常がない場合と少し亀裂が入っている場合は94%、骨の亀裂が明らかに分かる場合で64%の確率で治ると報告されています(2)。高い確率で治るのでしっかり治していただきたいです。

腰の疲労骨折は、早い段階で見つかれば治せる腰痛なので、整形外科でしっかり診断してもらい病状を把握して、適切なリハビリテーションを受けてください(^_^)

引用

(1) Sairyo K, Katoh S, Sasa T, Yasui N, Goel VK, Vadapalli S, et al. Athletes with unilateral spondylolysis are at risk of stress fracture at the contralateral pedicle and pars interarticularis: a clinical and biomechanical study. Am J Sports Med. 2005;33(4):583-90.

(2) Sairyo K, Sakai T, Yasui N, Dezawa A. Conservative treatment for pediatric lumbar spondylolysis to achieve bone healing using a hard brace: what type and how long?: Clinical article. J Neurosurg Spine. 2012;16(6):610-4.

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