深呼吸で痛みが和らぐ?!

こんにちは、西川整形外科で理学療法士をしています杉浦史郎です。
今日は「深呼吸」について、とても面白い研究を見つけたので、ご紹介します。

深呼吸って、ただ息を吸って吐くだけじゃなくて色々ないい効果があるようです^^

今回紹介するのは、深呼吸が「痛み」や「気分」にどう影響するかを調べた研究。

実験内容

研究チームは16人の被験者に、2種類の深呼吸をやってもらったんです。

1つ目は「注意深呼吸」。これは外部のペースに合わせて、外部の刺激に集中して呼吸する方法。
2つ目は「リラックス深呼吸」。これは自分のペースで、リラックスしながら呼吸する方法。

研究結果

ここからが本当に面白いです。

まず、「リラックス深呼吸」をした人たちは、痛みへの耐性が上がったんです。
逆に「注意深呼吸」をした人たちは、あまり変化がなかった。

さらに驚くべきことに、「リラックス深呼吸」をすると、交感神経の活動が下がったとのこと。
#体がリラックスモードに入るわけです

日常生活でも応用可能です^^

例えば、プレゼン前の緊張とか、締め切り前のストレスとか。
そういう時に「リラックス深呼吸」をすれば、体と心の両方をリラックスさせることができる。

でも注意していただきたいのが、「集中して呼吸しなきゃ!」って思いすぎると逆効果になること。
自然に、リラックスして呼吸するのがポイントのようです。そして整形外科に通院されている方は何かしらの痛みも抱えていらっしゃるので、「深呼吸」を行うと痛みも楽になるのではないでしょうか。もちろん他の治療も続けながらですが。

最後に

『深呼吸』は誰でもできる呼吸法ですが、現代社会で忙しい中にいるとついつい呼吸が浅くなってしまいます。自分もこの記事を気づくと鼻からフンフンしながら書いてました。。。「深呼吸」してみます。。。

The Effect of Deep and Slow Breathing on Pain Perception, Autonomic Activity, and Mood Processing—An Experimental Studypme_1243 215..228
Volker Busch, MD,* Walter Magerl, MD,† Uwe Kern, MD,‡ Joachim Haas, MD,* Göran Hajak, MD,* and Peter Eichhammer, MD*
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21939499/

 

コルセットをしても腰や背中の筋力は落ちないという論文がありました^^

思春期側弯症の治療でつける装具で筋力は落ちないようです^^

こんにちは、西川整形外科の理学療法士の杉浦史郎です。最近当院でまた卓球が盛り上がっています^^一番ラケット握ってます^^

皆さん、「側弯症(そくわんしょう)」ってご存じですか?これは背骨が横に曲がってしまう状態のことで、特に思春期の女の子に多いんです。

そして、その治療でよく使われるのが「硬性装具」という、背中を支えるコルセットです。でも、これをつけると「背中の筋肉が弱くなるんじゃないの?」なんて不安を感じている方も多いと思います。当院では発育期腰椎分離症(腰の疲労骨折)の方が、腰部だけの硬性コルセットをつけます。我々のデータでは3か月程度の硬性コルセットの後の背筋の筋肉の断面積は変わりありませんでした、すなわち硬性コルセットを使用しても筋肉は小さくならない結果でした。しかし実際の背筋の筋力や持久力はみていないのでどうかな?って思っていましたが、病名は違いますが側弯症で硬性装具後の筋力をチェックした研究がありましたのでご紹介します^^


「装具を6か月つけたら筋力や持久力はどうなるのか?」を調べてみた

この研究では、側弯症の7歳から16歳の61人の女の子を対象に、次の2つのグループに分けて比較しました。

  • 装具を6か月間つけたグループ
  • 装具なしで過ごしたグループ

年齢や体型、背骨のカーブの具合(Cobb角って言います)などが似ている子たちを選んで、公平に調べたんです。


具体的にどうやって調べたの?

筋力や持久力を測るために、いろんなテストをしました。

  • 例えば「うつ伏せ」で背中を持ち上げるテスト(改良版Biering-Sorensenテスト)とか、
  • 「立った状態」でどれだけ背中の筋肉を使えるかを測るテストとか。

さらに、「1日何時間くらい装具をつけていたのか」も記録して、細かくデータを集めたんです。


結果はどうだった?

結果、こんなことが分かりました。

  • 装具を6か月つけても、背中の筋力や持久力にはほとんど影響がない!
  • 装具を長くつけた子も、つけてない子と筋力の差はなかった!

つまり、「装具をつけたら筋肉が弱くなるかも…」という心配は必要なさそうだ、という結論です。


装具は敵じゃない。優秀な仲間!

側弯症の場合、装具治療は、背骨の曲がりを進行させないためにすごく大事な役割を果たします。でも、それを理由に「筋力が落ちちゃうかも…」と装具を敬遠してしまう患者さんもいると思います(装具療法は側弯症治療なので整形外科の医師の先生の指示に従ってくださいね)。

今回の研究で分かったのは、「装具は筋肉に悪影響を与えない」ということでした。これは当院でも使用している硬性コルセットにも当てはまるのではないかと思っています。

もしお子さんやご自身が側弯症で装具治療をしているなら、「筋力が落ちるんじゃないか?」と心配しすぎず、治療に専念してもらえればと思います。そして何より、体の不調や心配事は、専門の先生に相談してください。
発育期腰椎分離症でも実際の背筋力が落ちるかなどの報告があればまたご紹介します。でも今回の結果は、病気は違えど一つ我々にとってもポジティブな結果で安心しました^^

参考文献

Pikulska et al. Back muscle function in adolescent girls treated with a rigid brace for idiopathic scoliosis: no impact of 6-month brace wear on muscle strength or endurance
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34190081/

 

 

2025年9月12日(金)、13日(土)日本スポーツ整形外科学会学術集会が開催されます

こんにちは、西川整形外科の杉浦史郎です^^今日は来年に開催される日本スポーツ整形外科学会学術集会のお知らせです!

なんと東京で開催されます。学会長は菅谷 啓之(医療法人社団TSOC理事長 東京スポーツ&整形外科クリニック)先生です。有名な先生でご存知の方も

多いと思います。菅谷先生の病院の副院長で理学療法士の高村 隆先生がいらっしゃいます。菅谷先生、高村先生にはいつも大変お世話になっております。このたび、私も学会の委員として参加させていただきます。医師の先生方、理学療法士やトレーナーの先生方、双方にとって魅力的なプログラムを考えたいと思っています。ぜひ来年の9月に学会場でお会いしましょう。ホテルも早めに取らないと満室になってしまいますので、参加予定の先生方はお早めにホテルの予約もお願いします。

 

テニスで健康寿命が延びる?!

こんにちは、西川整形外科の杉浦史郎です^^先週、職場の先輩方とテニスをしたのですが

それはそれは楽しい時間でした.

そういえば、以前テニスと健康寿命についての論文があったことを思い出し記事にしました〜

テニスは単なるスポーツではない

テニスは、身体と心に多くの利点をもたらす素晴らしい運動です。研究によると、このスポーツは健康寿命の延長に大きく貢献する可能性があります。以下に提示します^^

健康への具体的な効果

  1. 心血管系の健康改善 定期的なテニスは、心臓の健康を促進し、心血管疾患のリスクを低減します。
  2. 身体組成の改善 骨密度の向上、体脂肪率の低下、筋力の増加など、総合的な身体能力を高めます。

驚くべき長寿効果

興味深いことに、テニスは他のスポーツと比較して、驚くべき9.7年もの寿命延長効果があるとされています。特に、社交的な要素を含むスポーツは、単なる運動以上の価値があるようです。9.7年は驚きですね、サプリとか飲むよりテニスの方がいいかもしれません。。。

高齢者にとっての意義

年齢に関わらず、テニスは生活の質を向上させる可能性があります:

  • 身体的健康の維持
  • 心理的well-beingの向上
  • 社会的つながりの強化

今後の研究への期待

まだ解明されていない部分も多いため、長期的な研究が必要です。テニスの独自の健康効果をさらに詳しく理解するための研究が待たれます。

まとめ

テニスは、健康寿命を延ばすための素晴らしい選択肢の一つのようです。確かに患者さんでテニスをしている方は、若い方からご高齢の方まで多くいらっしゃいます。しかしやはりスポーツなので怪我のリスクもあります。怪我を予防しながらテニスを続けれれたら健康な人生を送れると思います!!僕も来月またテニスします^^それでは。

参考文献

  1. Spring, K., Holmes, M., & Smith, J. (2020). Long-term Tennis Participation and Health Outcomes: An Investigation of “Lifetime” Activities.. International journal of exercise science, 13 7, 1251-1261 . https://doi.org/10.70252/baht9366.
  2. Marks, B. (2006). Health benefits for veteran (senior) tennis players. British Journal of Sports Medicine, 40, 469 – 476. https://doi.org/10.1136/bjsm.2005.024877.
  3. Pluim, B., Groppel, J., Miley, D., Crespo, M., & Turner, M. (2017). Health benefits of tennis. British Journal of Sports Medicine, 52, 201 – 202. https://doi.org/10.1136/bjsports-2017-098623.
  4. Schnohr, P., O’Keefe, J., Holtermann, A., Lavie, C., Lange, P., Jensen, G., & Marott, J. (2018). Various Leisure‐Time Physical Activities Associated With Widely Divergent Life Expectancies: The Copenhagen City Heart Study. Mayo Clinic Proceedings, 93, 1775–1785. https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2018.06.025.