腰痛に背部の背骨の硬さが関与する?!
こんにちは!理学療法士の杉浦史郎です。今日は腰痛にまつわる新しい研究についてお話ししたいと思います。
皆さんは「胸椎(きょうつい)」と聞くとあまり馴染みがないかもしれませんが、胸椎は背骨の背部の部分です(腰の上)、この胸椎の硬さが実は腰痛に深く関係しているのです。徳島大学の西良教授の研究グループの森本先生によって、胸椎の硬さが腰にかかる負担を左右することが新たに明らかにされました。
この研究では、有限要素解析という方法を用いて、胸椎が硬い場合と柔らかい場合で、腰椎にどれだけの負荷がかかるかをシミュレーションしました。その結果、胸椎が硬いと腰部にかかる負担が大きくなることが分かりました。このことから、胸椎の柔軟性が腰痛予防や症状の軽減に重要であることが科学的に示されています。
私たちも実際に腰痛症の患者さんを診察する際は、腰椎だけでなく胸椎の柔軟性も確認しています。そして胸椎が硬いと判断した場合、特別なリハビリテーションで胸椎の柔軟性を高めるようなアプローチを行います。このように胸椎のリハビリテーションは日々の臨床において非常に有効であり、西良教授の論文はその根拠として非常に参考にさせていただいています。
私も個人的に西良教授には学会や講演会でご指導いただいており、西良教授グループの研究成果を毎回楽しみにしています。腰痛治療には腰椎そのものだけでなく、周囲の関節の可動性も関わっています。ですから皆さんも腰痛が気になる際は、腰だけでなく「胸椎」や「股関節」の柔軟性を上げることで、より効果的に腰痛の改善が期待できるのです。
腰痛にお悩みの方はぜひ、こうした視点で普段のリハビリテーションやストレッチに取り組んでみてくださいー^^