ドケルバン腱鞘炎 リハビリテーションがダメなら注射ですか??

ドケルバン腱鞘炎になった場合は、まずはリハビリテーションが選択されますが、症状が続く場合は、注射やそれでもダメな時は手術になります。しかしドケルバン腱鞘炎は、手首の狭い腱鞘(腱が通る鞘)内で起こるので、注射もうまくそこの腱鞘内に入れないと効果が得られないので 注射=よくなる ではないこともあるようです。

 

また、その腱鞘内には、2本の腱が通っていますが、その2本の腱の間に壁が存在する場合があります。その壁があると、より狭い腱鞘になってしまうためドケルバン腱鞘炎がなりやすかったり、重症化につながるそうです。その壁は、先天的にあるそうですが、その壁がある割合は30〜70%と報告されています(1)。結構な確率です…

 

ここでまた問題となるのは、腱鞘内には2本腱がありますがこの内の1本が炎症することが多いそうです(2)。そのため、壁がある場合、更にその壁で仕切られて炎症している1本の腱の部屋にに注射をしなくてはいけません。これはもう神業な注射です。

 

しかし、さすがに外からこの壁があるかないかを判断するのは困難なため、超音波診断機器を使ってこの壁を見つけることができます(3)。そして超音波診断機器で壁の存在と痛みを出している腱側を特定し注射した方が、超音波診断機器を使わないで注射した時よりも効果的との報告があります(4)。しっかり痛みが出ている腱を特定して確実に注射を打てれば有効ですね。

 

まずはリハビリテーションを行って痛みが治まれば患者さんも負担が少なくていいと思います。腱鞘炎は腱の使い過ぎで起こるので、ドケルバン腱鞘炎用の装具(親指や手首を固定するしっかりとしたサポーター)で固定をしてみるのもいい方法だと思います。

 

以前このブログでドケルバン腱鞘炎について紹介しました。こちらもご参照ください。

http://pain-physio.net/?s=%E3%83%89%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%B3

文献
(1) PASUK MAHAKKANUKRAUH* AND CHANINTR MAHAKKANUKRAUH Incidence of a Septum in the First Dorsal Compartment and Its Effects on Therapy of de Quervain’s Disease Clinical Anatomy 13:195–198 (2000)

(2) Volpe A, Pavoni M, Marchetta A, Caramaschi P, Biasi D, Zorzi C, et al. Ultrasound differentiation of two types of de Quervain’s disease: the role of retinaculum.  Ann Rheum Dis. 69. England2010. p. 938-9.

(3) Soo-Jung Choi et al. de Quervain Disease: US Identification of Anatomic Variations in the First Extensor Compartment with an Emphasis on Subcompartmentalization Radiology: Volume 260: Number 2

(4) Kume K, Amano K Fau – Yamada S, Yamada S Fau – Amano K, Amano K Fau – Kuwaba N, Kuwaba N Fau – Ohta H, Ohta H. In de Quervain’s with a separate EPB compartment, ultrasound-guided steroid injection is more effective than a clinical injection technique: a prospective open-label study. The Journal of Hand Surgery (Eur) 37(6)

 
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ドケルバン腱鞘炎なんで起こるの?治し方は?

ドケルバン腱鞘炎なんでなるの?

 

女性に多いドケルバン腱鞘炎についてです手首の腱鞘炎としてはよく起こる病気だと思います。しかもなぜか女性に多い。男性に比べ女性は4倍から6倍多いとも言われています。これについては理由はまだ解明されておりません。

 

まずドケルバン腱鞘炎が起こる場所ですが手首の親指側の部分が痛くなります。ここに腱が通るトンネルがありその中で炎症が起こると言われています。通常そこに2本の腱があるのですがその件は親指を伸ばす動作をしますこのことより親指をよく使う人や手首を動かすような方に多く起こります

ドケルバン腱鞘炎になりやすい方の特徴として通常このトンネルの中には2本の腱が入っているのですが腱鞘炎になりやすい方は2本腱の間になぜか壁が存在すると報告があります。通常、壁はないので、壁があると一本の腱にかかる圧が上がると考えられます。そのため壁がある方はない方に比べ腱鞘炎が起こりやすいと言われています。

 

この壁については生まれつきのものなのでどうすることもできません。30%から70%の人にこの壁が存在するとも報告されています1)。現在の医療では超音波機器でこの壁があるかないかを見分けることができます2)。もしここの部分が痛くなった場合超音波で壁の有無を確認することで重症化するかどうかはある程度予想できると思います。

 

治療については、まずはリハビリテーションが選択されます。患部に対して炎症が強い場合は冷やしたり痛みの時期に合わせた低周波療法(電気治療)を行います。また腱鞘炎は動かすと悪化するのでサポーターなどで固定をするのも有効です。サポーターを選択する際、親指を止めるサポーターは多く存在するのですが、ドケルバン腱鞘炎を起こす腱は、手首をまたいで走っています。そのため親指の動きだけを止めるのではなく、手首の動きも止めることで腱鞘炎の部分にストレスがかからないようにすることがポイントです。

 

一定期間リハビリテーションを続けても効果がない場合や、炎症が強く痛みが強い場合は、腱鞘炎が起こっているトンネルの中に注射をする治療もあります。注射をしても再発や症状が続く場合は、手術でトンネルの部分を解放する治療もあります。

 

最近ですと、欧州を中心に腱鞘炎に対して衝撃波療法(拡散型)も効果的という報告があります。しかしながらこの治療機器は導入されてる施設は少なく限定されてしまうのが現状です。以前は手術をしていた症例でも医学の進歩により、リハビリテーション治療でも対応できることが増えてきていると思います。状況に合わせた良い治療が重要です。

1)             Mahakkanukrauh P, Mahakkanukrauh C. Incidence of a septum in the first dorsal compartment and its effects on therapy of de Quervain’s disease. Clin Anat 2000;13:195-8.

2) Choi SJ, Ahn JH, Lee YJ, et al. de Quervain disease: US identification of anatomic variations in the first extensor compartment with an emphasis on subcompartmentalization. Radiology 2011;260:480-6.