本年もどうぞよろしくお願いいたします:去年採択された論文の紹介です
本年もどうぞよろしくお願いいたします。西川整形外科で理学療法士をしております杉浦史郎です。
今年も臨床現場、リハビリ関係の情報発信、そして研究活動頑張っていきたいです。
今年、最初の記事は、去年European Spine Journalに採択された僕たちの論文をご紹介します^^
目次
子どもたちが元気にスポーツを続けられるように:発育期腰椎分離症の研究
子どものスポーツに関わる「発育期腰椎分離症」についてお話しします。なんだか難しそうな名前ですが、実はスポーツを頑張る子どもたちに多い腰のトラブルのことです。「うちの子には関係ないかも?」と思った方、ちょっとだけ読んでみてください。もしかすると、役立つかもしれません。
発育期腰椎分離症ってどんな症状?
簡単に言うと、腰の骨が疲労骨折を起こすことで、腰に痛みが出る症状です。特にスポーツをする子どもたちに多く見られます。でも、早く治療を始めれば治る確率が高くなります!
問題は、診断が難しいこと。病院でMRIを撮らないと分からない場合が多いんです。これでは「ちょっと腰が痛い」くらいの段階では、見過ごされてしまうこともあります。
質問票で早期発見を目指す
私たちは、病院に行かなくても発育期腰椎分離症を見つけるための「質問票」を作りました。この質問票に答えるだけで、発症のリスクがあるかどうかが分かる仕組みです。
質問の例:
- 1週間にどれくらい運動している?
- 1日にどれくらい練習している?
- どんな動きで腰が痛くなる?
- 痛みの場所や広がりはどんな感じ?
こういった質問に答えることで、発育期腰椎分離症の可能性を見極められるんです。
研究で分かったポイント
質問票を使った研究の中で、次のことが分かりました:
- 運動量が多いほどリスクが高い
毎日練習している子や、1日3時間以上運動している子は要注意です。 - 動いている時に痛むのが特徴
座っている時や立っている時は平気でも、動くと腰が痛む場合は発育期腰椎分離症の可能性があります。 - 男子に多い傾向
男の子の方が発症しやすいことが分かりました。
この研究で目指していること
私たちがこの研究で目指しているのは、子どもたちが安心してスポーツを続けられる環境を作ることです。
- スポーツの現場や学校で質問票を使えば、早期にリスクを見つけられます。#まだこの質問紙は発展途上で引き続き追加研究しています
- 「腰が痛い」と言いながら続けてスポーツをして子達が将来分離症になってしまうのを防ぎたい
これからの課題と未来への一歩
正直、この質問票はまだ発展途上です。もっと多くの子どもたちに協力してもらい、精度を上げていく必要があります。
引き続き今年も臨床研究を続けていき未来学会や論文で発信していきます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
参考文献
Sugiura et al,. Low back pain characteristics in adolescent patients with early-stage spondylolysis: a prospective study” Euro Spine 2024
https://link.springer.com/article/10.1007/s00586-024-08478-1