映画 ツレがうつになりました を観ました

大変勉強になりました。

周りにうつ病の友達や家族の方いる方は必見の映画だと思います。

私は日頃整形外科勤務なので、うつ病の方と接するのは少ないですが、堺雅人さん演じるうつ病患者さんを拝見して教科書でしか知識としてなかったですが、リアルな患者さん像を知ることができました。

宮崎あおいさんが妻役でしたが、うつ病の家族を持つ家族の大変さも分かりました。映画はうつ病になった主人と妻の生活を綴っています、感動ありの映画で幸せな気持ちになりました。しかし、実際、うつ病を抱えている方、その家族の辛さも改めて理解できました。映画は2時間ですが、365日病気と付き合う患者さん、それを支える家族…想像できない大変さがあると思います。これまで、そのような事を考えることもありませんでしたが、この映画を観てうつ病について考えるきっかけになりそうです。

 

うつ病の患者さんは増加していると聞きます。病院に勤務していれば、そのような患者さんと接する機会もあるので、明日からの診療でうつ病の患者さんへの対応少しづつ変えたいと思いました。患者さんご家族の話を拝聴することも重要ですね。とってもいい映画でした^^

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電気治療って痛みに効くの?

 しっかりと痛みの状態を把握して、適切な電気を当てれば効果的です。

電気療法(電流療法)は、昔から行われている治療法です。よく肩こりなどに使う低周波治療器など一度は使ったことがあるのでないでしょうか。電流療法といいましても、種類は多くあります。馴染み深いのは、痛みに対して行う電流療法だと思います。しかし痛みだけではありません。

関節の動きを良くしたり、筋力を強化したり、神経に刺激を入れたり。また、非常に微弱な電気を流すことで体の傷んだ部分の修復が促進する電流治療もあります。

全て電気ですが、何の症状に対して行うか?が重要です。電気には、周波数というものがあり(電気振動が1秒間に繰り返される現象のこと周波数と行ってヘルツで表されます)、このヘルツの違いによって、痛みを相手に行うのか、筋肉に対して行うのか違ってきます。

低周波

低い周波数という意味で、1000ヘルツ以下の周波数をいいます。 1001から10000ヘルツは中周波 10001ヘルツ以上は高周波と言います。高周波になると、超音波治療器がこの分類に入ります。高周波は体の深部を温める作用もあります。日常で使う電子レンジは高周波です。

さて痛みに対しては低周波を使います。痛みは、傷めて間もない痛み(急性痛)と痛みがずっと続いている(慢性痛)に分けられます。急性痛は、例えば捻挫してすぐに起こるズキズキした鋭い痛みが代表的です。慢性痛は鋭い痛みではないけど重いようなだるいような痛みが数ヶ月単位で続く痛みです。どちらも「痛い」のは変わりないですが、痛みの質が違います。質が違うということは、痛みを感じている神経が違います。急性痛は、鋭い痛みが特徴ですが、これはAδ線維(太めの神経)という神経によって感じます。それに対して慢性痛はC線維(細めの神経)という神経によって感じます。急性痛か慢性痛によって感じる神経が違うので、電流療法もどの神経に向けて治療するかでヘルツを変えます。

 

急性痛

100~200ヘルツで治療します。

 

慢性痛

1~10ヘルツ、15~30ヘルツで治療します。

 

同じ痛みでも周波数が全く違います。痛いから低周波ではなく、低周波の中でも、自分の痛みに対応している周波数かどうかが重要です。日々リハビリで何気に当てている電気ですが、使い方によって効果が変わります。ぜひ今使っている電気の周波数確かめてみてください。

 

参考文献

物理療法マニュアル

嶋田 智明ら

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運動をする前の準備体操は必要ですか?

はい、必要です。特に寒い季節はより準備体操は必要です。

寒い日、急に走ると筋肉が思うように動かない、関節がギシギシする、痛いなど経験したことがあると思います。走る前には、急には走らないで無意識に体を動かし易いところからゆっくり動かすと思います。これは筋肉を動かすことによって体の温度をあげるために行います。

 

1度温度が上昇すると、体の血の流れはよくなるそうです。また組織の代謝がよくなると言われています。2度上昇しますと筋肉の緊張が取れ、運動神経の伝導速度が増す(運動神経が働き易くなる)そうです。3から4度上昇すると腱や関節包(関節を取り巻く組織でこの部分が硬くなると関節が硬くなる)が柔らかくなると言われています。

 

このことから、準備体操は、筋肉や関節を温める効果があり、運動のしやすさや怪我の予防にもつながります。また、筋肉が張って出る痛みも運動によって軽減する可能性があります。少し運動すると体が軽くなったり、筋肉が凝った感じが取れるのはこのためです。

 

リハビリテーションは、温熱作用の力を存分に使います。リハビリテーションには、徒手療法(理学療法士が手を使って筋肉を動かしたり、関節を動かしたりする方法)と運動療法(患者さんが運動をすることにより筋力を上げたり、体の柔軟性を上げたりして治療していく方法)、物理療法(物理的に体を温めたり、電気を流したり、冷やしたりする治療法)があります。徒手療法や運動療法は、関節や筋肉を治療していくので、その前にホットパックといる温かいパックを患部に当てて、筋肉や関節の柔軟性を出した後、徒手療法や運動療法を行います。治療の前の準備体操になるのがこの温熱療法です。

 

また、五十肩など関節や筋肉が痛みによって動かなくなるため硬くなる現象が起こります。このような場合、理学療法士は筋肉を伸ばしたり関節を動かしたりするのですが、硬くなっている部分は体の表面だけではなく深いところの筋肉や間も硬くなっています。これらを温めるためにはホットパックだけでは役不足です。体の深いところを温めないと、そこを伸ばすには無理がかかるので、このような場合は超音波治療を使い体の3センチから5センチ奥までも温める治療を行います。温めながらや温め終わった後に関節や筋肉をゆっくりストレッチしてあげると痛みを出さずに 関節の動きを出すことができます。

 

五十肩で周りの人から動かさないと硬くなると言われて、痛みをこらえて自分で動かしてしまう方がいらっしゃいますが、無理に動かすのではなくしっかりと周りの筋肉や中の関節を温めた後、痛みのない範囲で動かしてあげることが安全です。しかしなかなか奥の組織までは温められませんので整形外科で超音波治療を併用しながら関節を動かすリハビリを行うと効果的と思います。

 

整形外科は、痛みや骨折の後など関節が硬くなる患者さんが多くいらっしゃいます。そのような場合、温熱療法による準備運動をしっかり行いながらリハビリテーションを行っています。硬くなった組織は動かさないといけませんが痛みを出さないようにより効果的に筋肉や関節を動かせるようにするのが大切です。

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スポーツって腰に悪いの?

腰痛は二足歩行を選択した人の宿命と言われています。 60%から80%の人が生涯に一度は腰痛を経験するそうです。

アメリカの報告ではアメリカ国民の約2%が慢性腰痛のため就業不能に陥ると言われており、アメリカにおいては腰痛は健康保険を破綻させた一因とも報告されています⑴。

日本人の腰痛の状況について、平成22年国民生活基礎調査より男性では第5位が手足の関節痛、第4位が咳や痰、第3位が鼻づまり、第2位が肩こりそして第1位が腰痛となっております。女性は第5位が体がだるい、第4位が鼻つまり第3位が手足関節痛そして第2位が腰痛、第1位が肩こりとなっています。

男性女性共に腰痛は困っている症状の上位です。

 

腰痛は侮れないです。

 

大学生の腰痛アンケート調査での報告は腰痛をこれまで感じたことある人はスポーツを経験していない人で50%でした。またスポーツを経験している人では64.6%が腰痛を経験したことあると答えていました⑵。大学生の時点で半分以上が腰痛を経験しているという事は、比較的年齢が若い時期から腰痛が生じていることがわかります。 またスポーツを経験している人は経験していない人よりも腰痛を起こす可能性が高いことが伺えます。

 

腰痛は誰しもが起こりうる病気です。腰痛を起こす部位としてあげられるのは代表的なものは椎間板です。椎間板は背骨と背骨の間にあるクッションのことです。このクッションが何らかの原因で傷めてしまうと腰痛が発生します。 先ほどの大学生の腰痛アンケートからスポーツ選手は腰痛が発生する率が高いと言われていて⑵、その腰痛は椎間板が傷んでいるかに関連すると言われています⑶。高齢者の場合、椎間板は自然に傷んでくるため高齢者の腰痛と傷んでいる場合は腰痛とは関係ないと言われています。しかし大学生までの若い子達にとっては椎間板が傷むことは腰痛の原因となりうると考えられます。

 

若い子たちの椎間板が傷んでしまうスポーツ種目は第一位はバレーボール第2位はウエイトリフティング第3位は柔道、第4位野球、第5位は競泳です⑶。上位を占めるスポーツは前傾姿勢で構えることが多いスポーツや重いものを持ち上げたりするスポーツです。

 

将来、腰痛を発生する可能性が高いスポーツを行う方はそうでない人より注意しないといけません。 スポーツ種目は変えられないので柔軟性や基礎トレーニングなど入念に行う必要があります。スポーツ種目によって椎間板を傷める確率が違うのは驚きです。

 

菊池臣一 – 腰痛 初版. 東京. 医学書院, 2003

⑵Hangai et al., AM j Sports Med, 2010

⑶Hangai et al., AM j Sports Med, 2009

超音波治療ってなんですか?

超音波治療は、リハビリテーションでよく行われる物理療法機器です。物理療法とは、体に物理エネルギー(温熱、寒冷、電気刺激、光線、その他)を加えること で、生理的生化学的変化を起こし、血液循環の改善、筋の緊張や痛みを除去、軽減するものです。リハビリに行くと腰に電気かけたり、痛いところを温めたりする治療です。

その中でも、超音波って何?という質問を受けます。

超音波とは高周波に位置付けられています。高周波って?ですが、電気振動が1秒間に繰り返される現象のこと周波数と行ってヘルツで表されます。例えば4ヘルツは、1秒間に電気振動が4回行き来することです。よく低周波という名前は聞いたことある方もいると思いますが、低周波は100ヘルツ以下を言います。

高周波は低周波より高い周波数で 3万ヘルツ以上を高周波としています。ここで超音波ですが、超音波はなんと1Mヘルツから3Mヘルツです。メガです!1秒間に100万回から300万回の電気振動を起こします。まさに超です。

そしてこの超音波はこの周波数を使い細胞を振動させる作用により温熱効果をうみます。1秒間に100万回細胞をマッサージされている状態です。人の手では作り出せません。我々理学療法士は、この超音波を使い、人間業ではできない、短時間での筋肉や組織の温度を上げ治療に応用しています。


なぜ温熱がいいのか?

温めるとなぜ体に良い効果が得られるのか?については、私たちは経験的に理解していると思います。例えば、温泉やお風呂で温まったあとは、体の疲労が取れたり、筋肉の柔らかさが出たりなど経験している方がほとんでないでしょうか。

温熱作用

教科書では温熱作用は6つあると解説されています。簡単に説明していきます。

①組織温度の上昇 

*組織とは筋肉と靭帯、関節を取り巻く関節包、皮膚などです

 

②血管の拡張、血流促進

*血液の流れがよくなる

 

③筋スパズムの軽減

*筋肉のコリや張りが取れることです

 

組織代謝の改善

*新陳代謝が起こることです

 

⑤疼痛閾値の上昇

*痛みを感じにくくなることです。例)痛かったけど温めると痛みが楽になった。

⑥結合組織の伸展性の増大

*靭帯や筋肉の腱(すじ)のような硬い部分が柔らかくなること

上記の効果が見込めます。温熱作用はいいことが多いですね。ホッカイロで温めるのもお風呂に入っているだけでも温熱療法です。温熱療法は特別なものではなく日常で行われています。

しかし、超音波を使った温熱療法は体の表面ではなくより深いところに、そして早く温めることができます。深さは2センチから6センチまでを温めることができます。硬くなってしまった関節や筋肉は深いところにあります。この部分を手を使ったマッサージでは温められません。

ここで登場するのが超音波です。より深いとことで硬くなっている部分をおよそ2−3分で温めることができます。ホッカイロなどで温めるのはどうしても表面だけになります。患者さんはより深い部分で筋肉が硬くなっているのでそこを治療するには超音波が必要です。深い部分を超音波で温めながら関節の運動を同時に出していく治療があります。このようにストレッチも温熱療法を加えながら行うと効果が上がります。

 

1秒間に100万回のマッサージ効果で、超音波は深部を温めるのに有効です。整形外科の患者さんでは適応な方は多いと思います。

 

*超音波はより深部を温めることができるので使用方法を間違えると火傷などが起こる場合もあります。病気の状態によっては超音波が使用できない患者さんもいます。治療の際は、必ず専門家の指示に従ってください。

骨粗鬆症って痛みを起こすの?

日本でで骨粗しょう症を有している患者さんは女性では24%男性では5%と言われています。推定患者数は1300万人に達するとも言われています。

骨粗鬆症は骨の強さが20代から40代と比べて弱くなっている状態です。 症状は骨が弱くなっているため骨折やそれに伴う痛みや動作が鈍くなったりします。

骨粗鬆症患者さんが腰痛や背中の痛みを起こす程度は33%と言われています。 またその痛みのために80%の方が日常生活の制限を感じており、90%以上の方が日常生活で困っているそうです(1)。

骨粗鬆症に伴う腰や背中の痛みは、骨折による痛みや骨折後に骨が変形して起こる痛みが原因と考えられてきました。最近の研究では骨粗しょう症自体が痛みを引き起こしているのではないかと言う報告があります。こうなりますと骨粗鬆症になっている患者さんは骨折などがなくても腰や背中の痛みを訴えることがあるということです。

今までは骨の痛みは骨の表面にある骨の膜である骨膜が刺激されて痛みを起こすと考えられてきました(2)。しかし研究が進み痛みを感じる神経が骨の中にも存在することがわかってきました(3).

骨粗鬆症が起こると骨を壊す細胞が活性化するので その細胞が産生する酸が増加して局所が酸性になり、 骨の中に分布する感覚神経を興奮させて痛みが引き起こされてしまうと考えられています(4)。

骨粗鬆症に伴う腰痛の原因についてはまだまだ不明な点が多いようです。しかし骨粗鬆症患者の中で骨折を伴わないのに痛みが起こっている方や骨粗鬆症の薬を飲むとそのような痛みが軽減するという報告もあるので、骨粗鬆症自体が痛みを出す可能性が高いと考えられています。骨粗鬆症は高齢化社会に伴い今後どんどん研究されていく分野だと思います。

 

食事や運動も骨の強さに回復に関わると言われていますので、薬だけでなく、運動、そして食事を気をつけて 骨粗鬆症予防をしていくことが大切です。特に女性の方は、男性と比較し骨粗鬆症になりやすいのでお気をつけください。

 

(1) 折茂 肇  診療所に通院する骨粗鬆症患者の服薬コンプライアンスと腰背部痛の現状. Osteopor osis jpn 15:351-358

(2) Bonica, J.J.: Management of pain Lea & Febiger, Philadelphia, 1953

(3) DB Mach, SD Rogers, MC Sabino,: Origins of skeletal pain: sensory and sympathetic innervation of the mouse femur. Neurosci. 113: 165-166, 2002

(4)S Ohtori, T Akazawa, Y Murata et al., Risedronate decreases bone resorption and improves low back pain in postmenopausal osteoporosis patients without vertebral fractures. Journal of Clinical Neuroscience Volume 17, Issue 2, February 2010, Pages 209-213

 

専門理学療法士 取得

去年申請した専門理学療法士(運動器)の資格を取得できました。良かったです^^資格を申請するまで講習会や学会で発表、参加などによりポイントを取得する必要があります。ただ一番大変なのは、絶対条件の論文の提出です。この論文のハードルが高いです。雑誌 理学療法に掲載されるか、英語論文で且つ名の知れている雑誌ではないと条件に入らないと思います。

教育ポイントというものもあり依頼論文だったり査読、学会の座長をしたりしないとポイントがもらえないのでこれまた大変かもしれません。

臨床だけでなく学術活動をしていたので、何とかなった感じです。学会や論文活動をされている方は取得を目指す価値はあると思います(ハードルも高くなってますし)

今後は更新も必要なんです。。。これからまた学会や論文活動して結果、専門理学療法士の更新ポイントが集まればいいと思っています。専門理学療法士を更新するために!!がモチベーションだと辛いかもしれません。

申請から結果が出るまでが長かった(半年以上かかったかも)。。。申請する方も多いし、申請書類も膨大ですものね。審査する協会の方々、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

腰のインナーマッスルのトレーニング

腰にもインナーマッスルとアウターマッスルがあります。腹筋のトレーニングでよく行われる両手を頭の後ろで組んで上体を起こしていくトレーニングがあると思います。また背筋のトレーニングとして、うつ伏せになり両手を頭の後ろで組んで上体を反るトレーニングがあると思います。これらの腹筋や背筋のトレーニングは体の表面から見えるアウターマッスルのトレーニングになります。

 

筋肉には大きく2種類あります。表面から見えるアウターマッスルとアウターマッスルの下にあるインナーマッスルがあります。インナーマッスルは体の深いところにあるので、関節の安定に働く筋肉と言われています。このインナーマッスルとアウターマッスルが共同して働くことが大切です。インナーマッスルがまず関節を安定させることで、アウターマッスルが安全に大きな関節運動を行うことができます。

 

インナーマッスルとアウターマッスルが2つありますので、トレーニングもやみくもに腹筋と背筋トレーニングを行うのではなく、インナーマッスルとアウターマッスルを分けたトレーニングが必要です。

 

今回は、インナーマッスルのトレーニング方法を紹介します。

 

1.片手片足上げ

四つ這いになり右手と左足を上げます。その逆も行います。

1回5秒間 左右10回ずつ

 

2. 両肘両膝で保つ

うつ伏せの上体で両肘と両膝を立て、腰を浮かす(腕立て伏せのように)

10秒保持 5回

 

3. 肘と膝で保つ(横向き)

横向きの上体で肘と膝の外側で保持する(脇の下、肘、膝の外側で三角形を作る)

10秒保持 5回

 

紹介した体幹筋トレーニングは全て、腰のインナーマッスルが働くと報告されています1,2)。最近人気の体幹筋トレーニングの本には、かなり強度が高いものがあります。腰が痛い方、これから体幹筋トレーニングを始める方は、ぜひ無理しないで今回紹介したトレーニングをしてみてください。

 

参考文献

1) Okubo, Yu, et al. “Electromyographic analysis of transversus abdominis and lumbar multifidus using wire electrodes during lumbar stabilization exercises.” journal of orthopaedic & sports physical therapy 40.11 (2010): 743-750.

2)大久保雄, et al. “腰椎 Stabilization Exercise 時の四肢挙上による体幹筋活動変化.” 日本臨床スポーツ医学会誌= The journal of Japanese Society of Clinical Sports Medicine 19.1 (2011): 94-101.

腰椎椎間板ヘルニアはリハビリを行うとひっこむの?

椎間板を痛めた可能性がある腰痛は、腰痛の中の39%程度と言われています(1)。このことから椎間板は腰痛の原因となっている可能性が高いです。この椎間板には痛みを感知する神経が入っています(2)。通常この神経は椎間板の外側に存在します。しかし 椎間板を何かしらの原因で痛めると痛みを察知する神経が椎間板の奥まで入り込んでいくそうです。これが長く続く腰痛の原因と言われています(3)。

この椎間板が圧迫されて後ろに突出した状態が椎間板ヘルニアと言われています。ヘルニア自体は MRI(磁気を使った検査機器*CTと違い被爆しません) で 診断がつきます。しかし腰痛ない方でも30%程度、 MRI 画像上ヘルニアが存在することがわかっています(4)。このことから、ヘルニア=腰痛や坐骨神経痛ではないこともあります。しかし実際、医療現場で携わっていますと MRI 画像上ヘルニアがあって症状も腰痛や坐骨神経痛がある方は多くいらっしゃいます。 薬、注射やリハビリテーションなどでヘルニアの患者さんの症状が良くなることもあります。しかし症状が良くなっても ヘルニアが元の正常な状態に戻るかと言うとヘルニアのまま…なことが多いです。 この状態は画像上ヘルニアがあっても腰痛や坐骨神経痛などが治っている状態だと思います。火山に例えると活火山から休火山になった状態ですね。

一度出てしまったヘルニアは戻らないとお伝えすることが多いのですが、これを聞くと患者さんは落ち込みます。しかし休火山の状態から活火山にさせないことが重要で、ヘルニアがあっても腰痛が発生しないように日常生活や仕事に気をつけ、リハビリテーションを行うことが予防になると思います。人によっては膝の痛みを抱える方や他の部位の痛みを抱える方がいらっしゃいます。腰痛を抱えてる人は、自分は腰に負担がかかりやすいんだと思い対処していくことが大切だと思います。

「椎間板ヘルニアがあると活火山化する可能性もある」と知っておくと、リハビリテーションを続けるモチベーションになると思います。

 

(1)高橋 弦 椎間板性腰痛の基礎

日本腰痛学会誌 13:10-16、2007

(2) Lotz, J.C., Ulrich, J.A Innervation, inflammation, and hypermobility may characterize pathologic disc degeneration: review of animal model data. J Bone Joint Surg Am. 2006 Apr;88 Suppl 2:76-82.

(3) Freemont,A.J Nerve ingrowth into diseased intervertebral disc in chronic back pain. Lancet. 1997 Jul 19;350(9072):178-81.

(4) 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会 腰椎椎間板ヘルニアガイドライン策定委員会:腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン. 南江堂2007

腰痛ってどこを痛めているの?

整形外科を受診している患者さんの中でも腰痛症の方は多くおられます。腰痛症といっても腰痛を起こす場所は色々あります。最近では MRI などの画像診断が進歩したおかげで腰のどの部分を痛めているかを以前よりも評価できるようになっています。しかし腰痛を起こす部分は体の中でも深いところにあることと、色々な組織があることでなかなか特定できません。

患者さんからはよくどこの部分を痛めているのですか?と聞かれます。 画像所見などにより腰痛が起こしている部分に直接注射 をして原因を特定する方法もあります。 しかし実際は注射をすることによる弊害もあるためになかなかそこまでの診断はできません。今回は、腰痛の原因となる場所をご紹介します。

 

腰痛の痛みを起こしている可能性がある組織について

椎間板の可能性39%

椎間関節の可能性15%から32%

仙腸関節の可能性13から18.5%

と報告されています(1)

*椎間板とは背骨の骨の間と間にあるクッションの役割をする組織です。 椎間関節は背骨の骨と骨をつなぐ関節です。 仙腸関節は骨盤部分の関節です。

腰は痛みを出す場所が多い!!

 

この三つの部位以外にも筋筋膜性腰痛(腰の筋肉が原因となっている腰痛) なども腰痛の発生原因の可能性があると言われています。 腰痛を起こす部分は様々であり、その部分は外からは判断できないことが多いです。このことが 腰痛を難しくしている原因です。我々理学療法士は、このような基礎的な知識と実際の患者さんの症状をよく観察しながら、 腰痛患者さんが腰のどこの部分を痛めている可能性があるかどうかを考えながらリハビリプランを立てています。 腰痛は一筋縄にはいきません、難しいので何とかしたいです^^

 

引用文献

(1) 高橋 弦 椎間板性腰痛の基礎

日本腰痛学会誌 13:10-16、2007