〇〇は腰の椎間板にもよくない

答え:肥満

椎間板とは、背骨の骨と骨の間にあるクッションのことです。組織学的には線維軟骨と言われています。クッションの役割をするので、背骨にかかる衝撃を吸収してくれます。腰椎(腰の背骨)にも椎間板があります。

この椎間板を何らかの原因で痛めてしまうのが「椎間板変性」「椎間板障害」「椎間板ヘルニア」などです。椎間板には痛みを感知する神経がある(1)ので、痛めると腰痛が出ます。
椎間板ヘルニアは、椎間板が飛び出てしまう→飛び出た先に神経あり!→神経痛(例:坐骨神経痛)が出現する可能性(高)

今回は、その椎間板の障害と肥満は関係があるか?を調査した論文を紹介します。

椎間板障害 1749名と、椎間板障害なし 1885名を体重(今回はBody mass index (BMI))に注目して比較しています。

WHO(世界保健機関)の基準。Body mass index (BMI)*1を基準に体重を評価

BMI 18.5以下:痩せ型
BMI 18.5〜24.9以下:ノーマル
BMI 25〜29.9以下:過体重
BMI 30以上:肥満

椎間板の障害→腰椎の椎間板ヘルニアや、椎間板障害、椎間板の変性とする。

結論:過体重や肥満と椎間板障害は非常に高い関連性がある!とのことです。椎間板はクッションの役割をしているので、体重が多いと椎間板に負担がかかるのは当然ですね(^_^;)

私が担当している腰椎椎間板ヘルニアの方(BMI25以上)が、1年かけてダイエットした結果(BMI25未満に!)、腰痛や坐骨神経痛が改善していました。
過体重・肥満の方で椎間板障害による腰痛がある方は、ストレッチや筋トレと併せてダイエットも行うと、より効果的だと思います(^_^)

(1)http://pain-physio.net/椎間板には痛みを感じる神経がある?ない?/

(2) Xian Xu et.al Association Between Overweight or Obesity and Lumbar Disk Diseases: A Meta-Analysis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25500506

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肥満は腰痛に関わる?

答え:肥満と腰痛は関係あり!!

「肥満と内科的な病気には密接な関わりがあるけれど、腰痛との関わりは果たしてあるのか?」を調査した論文があったので紹介します(1)。
今回の論文は『メタ分析』といって、世に出ている論文をピックアップして解析しています。メタ分析は、論文の中の論文といえる科学的根拠が強いものです。

《結果》

WHO(世界保健機関)の基準。Body mass index (BMI)*1を基準に体重を評価

BMI 18.5以下:痩せ型
BMI 18.5〜24.9以下:ノーマル
BMI 25〜29.9以下:過体重
BMI 30以上:肥満

上記のBMI基準のうち「過体重と肥満は、腰痛と関係あり」との結果でした。過体重以上は腰痛と関わりがあるとの結果だったので、BMI 25以上の方は要注意ですね。
過去には、「男性に限り、肥満は腰痛と関係あり」「男女ともに過体重は腰痛に関わらない」との報告もありましたが、今回の論文は2018年に出たものなので、最近の知見といえます。現時点では『肥満と腰痛は関係あり』と考えていいと思います。

肥満と膝の痛みの関係は昔から言われていたことですが、肥満は腰痛にも関係があると知っていれば、腰痛予防につなげていけると思います。

*1 BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。健康を維持するためは日頃からBMIを把握することが重要です。

計算式はBMI 体重kg ÷ (身長m)2

引用:https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228732

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27875413

 

 

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中年の肥満男性の腰痛は、〇〇トレーニングで治しましょう
結論:水中トレーニンング

中年になると肥満気味になる患者さんも多いかと思います。そして、肥満は腰痛の原因にもなるので、肥満と腰痛の両方に悩む方も多いと思います。今回は、そのような方に対してどのようなトレーニングが有効か、という研究報告(1)があったので紹介します。

36名の中年男性 平均年齢は62.3歳、平均身長は163.1cmの腰痛症患者、体脂肪率は35%以上の方を対象としています。36名のうち18名は何もしないコントロール群、残りの18名は水中トレーニング群とします。

水中トレーニング群は4ヶ月間行って、3ヶ月以上症状が続く方は1週間に3回(1回に60分間の水中トレーニング)、運動の負荷が最大酸素摂取量*の40から50%の負荷量で行いました。トレーニングの内容は、15分間はストレッチ(関節の大きな筋肉を中心に)。そして水中ウォーキングを前・後・側方、水中でジョギングなどを行い、またスクワット・自転車こぎの様な運動も行います。

結果は、水中トレーニング群は明らかに歩行速度が改善しています。体重は平均83.5キロから79.2キロに減少、体脂肪率も平均37%から32.6%に減少しました。そして、腰痛も改善したとのことです。

肥満になると、ひざ関節や股関節、足関節などの体重がかかる部位に負担がかかるので、激しいトレーニングはなかなか出来ません。しかしながら、このような水中トレーニングだと、関節に負担がかかりにくいので有効かと思います。

今回の研究ような運動(水中で60分間)はなかなか難しいと思います。しかし、 関節に負担かけないように安全にできるトレーニングとしては、プールでのトレーニングはいいと思います。「プールがいいのはわかってるけど、なかなか時間がなくて…」と言われる方もいるかと思います。プール以外にも
足の関節に負担かからないトレーニングもありますので、後々紹介していきたいと思います。

*最大酸素摂取量とは
私たちは呼吸をすることで酸素を体内に取り入れ、酸素を利用して糖や脂質を分解することで運動エネルギーを作りだしています。運動強度が高くなったり運動継続時間が長くなったりしても、体内に十分な酸素を取り入れ利用することができる能力が全身持久力です。そのため最大酸素摂取量は全身持久力の指標として用いられます。
 最大酸素摂取量は1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量(ml/kg/分)を示し、「VO2max」(Volume〔量〕、O2〔酸素〕、max〔最大値maximum〕)と略記されます。
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tairyoku-kiki/sanso.html

(1) The Effect of Water-Based Aerobic Training on the Dynamic Balance and Walking Speed of Obese Elderly Men with Low Back Pain
Khadijeh Irandoust, Morteza Taheri, Javad Shavikloo

http://www.sleepandhypnosis.org/ing/abstract.aspx?MkID=257

 

 

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