「椎間板ヘルニア」はリハビリするとひっこむの?

椎間板を痛めたことで出る腰痛は、腰痛の中の約39%と言われている(1)ので、椎間板障害が腰痛の原因になる可能性は高い!といえます。
椎間板には痛みを感知する神経が入っていて(1)、通常この神経は椎間板の外側に存在しています。
しかし 、椎間板を何かの原因で痛めると、痛みを察知する神経が椎間板の奥まで入り込んでいくそうです。これが長く続く腰痛の原因と言われています(2)。
そして、椎間板が圧迫されて後ろに突出した状態を『椎間痛ヘルニア』と言います。
ヘルニア自体は MRI で 診断がつきます。
しかも腰痛がない方でも約30%は、 MRI 画像上でヘルニアが存在することがわかっています。
ちなみに『ヘルニア』とは、
体内の臓器が、あるべき部位から逸脱した状態のことをいいます。

ヘルニア腰痛や坐骨神経痛と診断されない場合でも、実際の医療現場ではMRI 画像上にヘルニアが確認できて、腰痛や坐骨神経痛のような症状がある方が多くいます。
薬や注射、リハビリなどでヘルニアの症状が良くなることもあります。
ですが、ヘルニアが元の正常な状態(部位)に戻るかと言うと、そうではないこと(治療前と同じ画像)が多いです。
この状態が、「画像上ではヘルニアが確認できるけど、腰痛や坐骨神経痛などが治っている状態」だと思います。
活火山から休火山になった状態ですね♪

「一度出てしまったヘルニアは戻らない」とお伝えすると、患者さんは落ち込みます(*_*)
しかし、休火山から活火山にさせないように(ヘルニアがあっても腰痛が発生しないよう)日常生活に気を配り、リハビリを行うことが重要だと思います。
「自分は腰に負担がかかりやすいんだ」としっかり自覚して、対処していくことが大切ですね(^_^)

引用

(1) Lotz, J.C., Ulrich, J.A Innervation, inflammation, and hypermobility may characterize pathologic disc degeneration: review of animal model data. J Bone Joint Surg Am. 2006 Apr;88 Suppl 2:76-82.

(2) Freemont,A.J Nerve ingrowth into diseased intervertebral disc in chronic back pain. Lancet. 1997 Jul 19;350(9072):178-81.

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腰痛椎間板ヘルニア患者の腰痛に超音波治療は有効か?!

答え:有効のようです

リハビリテーションの治療は、主に徒手療法(理学療法士が手を使って直接患者さんの治療をする)と運動療法(運動を患者さんにしてもらい治療をする)、そして物理療法(温熱や電気を使った物理的刺激で治療する)の3つがあります。

物理療法の中でも、超音波療法*1は古くから行われています。今回紹介するのは「超音波療法は腰痛に効果があるのか?」を報告した論文です。1983年の論文ですが、詳細に調査されており超音波療法の有用性が理解できる内容です(1)。

1978年から1980年の間に腰のヘルニアと診断され、腰痛を有した73名を対象としています。年齢は35〜45歳です。ヘルニアの診断は、この時代なのでMRIではなく造影レントゲンにて診断しています。

患者さんを3グループに分けています。
1超音波療法とベッド安静
2偽超音波療法とベッド安静
3ベッド安静と鎮痛剤

以上の3つのグループです。
偽超音波治療は超音波のスイッチをオフして行ったそうです

超音波、偽超音波の治療場所は、ヘルニアが認められた腰の部位です。
患者さんに対しての腰痛の評価として四つの質問を行いました。
1  痛みはない
2 痛みはわずかに残っている
3 改善した
4 変化なし

結果→「超音波療法群」で腰痛の改善が認められました。また体の柔軟性も3つのグループの中で、超音波療法グループがより改善していたとのことでした。
今回の調査では基本的にベッド安静なので、超音波療法は有効性は頷けます。しかし昨今の腰痛治療では、痛みの程度に合わせて体は動かした方がいいといわれています。ベッド安静がいいわけではないところはご注意を。超音波療法は自宅ではなかなか難しいですが、整形外科でリハビリを行っているところでは超音波療法ができる施設も多いと思います。

*1超音波治療ってなんですか?

超音波治療とは、リハビリテーションでよく行われる物理療法機器です。物理療法とは、体に物理エネルギー(温熱、寒冷、電気刺激、光線、その他)を加えること で、生理的生化学的変化を起こし、血液循環の改善、筋の緊張や痛みを除去、軽減するものです。リハビリに行くと腰に電気かけたり、痛いところを温めたりする治療です。

超音波とは高周波に位置付けられています。高周波って?ですが、電気振動が1秒間に繰り返される現象のこと周波数と行ってヘルツで表されます。例えば4ヘルツは、1秒間に電気振動が4回行き来することです。よく低周波という名前は聞いたことある方もいると思いますが、低周波は100ヘルツ以下を言います。

高周波は低周波より高い周波数で 3万ヘルツ以上を高周波としています。ここで超音波ですが、超音波はなんと1Mヘルツ〜3Mヘルツです。メガです!1秒間に100万回から300万回の電気振動を起こします。まさに『超』です。
そしてこの超音波は、この周波数を使い細胞を振動させる作用により温熱効果をうみます。1秒間に100万回細胞をマッサージされている状態です。人の手では作り出せません。我々理学療法士はこの超音波を利用し、短時間で筋肉や組織の温度を上げることで治療効果を高めているのです。

 

(1) Ultrasound in treatment of back pain resulting from prolapsed intervertebral disc

bmed.ncbi.nlm.nih.gov/6218793/

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