ちょっと待って!! その腕、ストレッチをやる前に………

今回は、当院でオススメしている「ストレッチ」を紹介したいと思います♫

様々なケースに応用できるので、是非この機会に!

ストレッチ法は、それこそ筋肉の数ほどストレッチの方法があります。
なぜそのストレッチをやるのか?どういう順番で行った方がいいのか? の説明を知る機会は少ないと思います。
リハビリの際に理学療法士から、何故ストレッチをした方がいいのか?の説明がなければ、ただただ形だけのモノ(ストレッチ)になっているかもしれないですよね(+_+)
そこで今回は、日頃行って欲しい「腕のストレッチ」(図1を参照) 、を行う前にやってみてほしい『準備段階のストレッチ』を紹介したいと思います♫

図1 よく運動前に行う左腕のストレッチ

 

図1のようなストレッチを行う方は多いと思います。例えば野球やテニスのような、腕を使うスポーツの前によく行われます。
このストレッチの目的は、➡️「腕をよく回せるように」です。「腕をよく回すためには」を掘り下げると➡️「腕はどうして動くのか?」となります。

 

結論→腕は単独で動くのではなく、その前に背骨が回ったり、肩甲骨が動いたりして、その結果「腕が回る」。
でんでん太鼓を想像してみてくださいね^_^(図2)

図2

でんでん太鼓は音を出すために、紐についた玉が太鼓の面に当たらないといけません。ただ紐が勝手に動くわけではないですよね?
[持ち手の部分が回る→紐が動く→その先の玉が太鼓の表面(鼓面)に当たる→音が出る!]
ここでのポイントは「勝手に紐が動かない!」ということです。動力源はでんでん太鼓の支柱(持ち手)が回る、ということです。

このでんでん太鼓を人間の体に当てはめると、
・紐=腕
・支柱(持ち手)=背骨
でんでん太鼓理論で考えると、腕が勝手に動くことはないですね。まず背骨が回り、その結果腕が動くわけです。。

もう分かっていただけましたか?
腕だけをストレッチしても効率が悪いのです(TT)
動作の順番を考えると、①背骨・肩甲骨→②腕の順でストレッチをした方が理にかなっています!

それでは皆さん、ここからは実際にご自身の身体で体感してみて下さいね♫
ストレッチの良いところは「改善したことを実感できること」だと思います。 それが実感できないと、ストレッチを継続するのは難しいですよね。
しっかり継続していく為にも、ストレッチ前に今回紹介する「テスト」で「張りcheck!」をオススメします(^_^)

《腕の張り:確認テスト》
このテストは腕のストレッチと全く一緒です。
腕を内側に倒していく際に少しでも伸びたところを確認してください。
✻注意❊
・通常のストレッチのようにぎゅーっと伸ばしてしまうと、右腕と左腕がどちらが張っているのかの確認ができない。
・腕の筋肉が少しでも伸びたところを確認。
・この時、左右どちらの腕が突っ張るタイミングが早いかどうかも確認。図3

図3 右腕の方が突っ張るとのことです

それではテストが終わった方は、
『背骨のストレッチ』を始めていきましよう♫

①図のように横向きで寝て、手を頭の後ろに当てる、
②そこからゆっくりと腕を天井に向けるように開いていく。
✻腕を開くと言うより、背骨を回すイメージです。でんでん太鼓の支柱を回すように動かしてみてください。
③これを逆側も行う。左右10回ずつ行う。(図4)

 

図4 腕ではなくて背骨を意識して回すことがポイントです

①〜③のストレッチ後に、先ほどの「腕の張り確認テスト」をしてみてください。
うまくストレッチ出来た方は、腕のつっぱりが減っているのがわかると思います♪

当院でもよく紹介するこのストレッチは、多くの方に「腕のつっぱり軽減」を体感していただけます。そして「腕をストレッチしてないのに、なんで腕が楽になるの? 」と驚かれます。その理由は、先の「でんでん太鼓理論」で考えると「背骨や肩甲骨の柔軟性が向上した」ですね(^_^)図4

どうしても腕や肩、股関節のように、動きが多い部分をストレッチ、柔軟体操してしまうのは分かります。
しかし、体の動きには「つながり」があります。その「つながり」を考慮しながら、腕や足のストレッチをすることがとても大切になります。
仮に腕だけストレッチをして、背骨や肩甲骨が動かない(硬い)状態で運動すると、かえって腕に負担かかってしまうことも考えられます。
柔軟体操は運動前後によく行われますが、理にかなった体操だと思います。しかしスポーツの現場でもまず背骨のストレッチ(今回紹介したような)を皆で行う、というのはまだ浸透していないのが現状です。

スポーツ現場では練習時間が限られているので、自宅で今回紹介した背骨のストレッチを行い、練習に参加すると効率的だと思います^^

『腕だけでなく、背骨のストレッチも!』
皆様には「もう1つレベルを上げたストレッチ」の実践をオススメしたいです(^_^)

西川整形外科ホームページ: http://www.naoso.com/

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野球肘と言われたら、投球フォームには肘の角度が大切!!

➡️➡️肘曲げ60度!

野球で肘を痛めてしまうことを「野球肘」と言います。
野球肘になると、肘の内側にある「内側側副靭帯」を痛めてしまうことが多々あります。→→肘の内側に痛み発生!
野球(投球時など)で肘を酷使すると、この部分(内側側副靭帯)に負担がかかります。その負担を少しでも軽減できるよう、理学療法士が野球の球の投げ方を指導することもあります。投げる時に肘が下がると「野球肘」になりやすい、と言われています。

さて今回は、
「内側側副靭帯は、肘のどの角度で安定するのか?」を検証した研究を紹介します♫

実際の肘と靭帯を使って、肘の角度 0°〜120°間のどの角度にテンション(張力)がかかるかどうかを確認した研究です。
内側側副靭帯…長方形の形。前縁と後縁が存在。手のひらを広げた状態で内側側副靭帯を見た時に、長方形の前部分を前部線維、後ろ部分を後部線維と呼ぶ。

今回はこの「前部線維」と「後部線維」が、どの位置でテンション(張力)が一致するかを見ています。

《結果》
・肘の角度…60°の時に、2つの線維のテンションが一致し、安定する。
・60°よりも曲げた場合→内側側副靭帯の後部線維の緊張が増す。
・60°より逆に伸ばしていく→前部繊維のテンションが増す。

《結論》
・肘の内側に負担がかかるような動作をする時は、『60°』の位置で作業すると肘が安定し、痛めづらい

ボールを投げる際の肘の角度を、ビデオ等で撮影し確認することで、肘の障害予防へ繋げられると思います(^_^)ちなみに野球肘は内側側副靭帯の前部線維を痛めることが多いのですが、今回の論文の結果からは、60度以上で曲げた状態で投げると前部線維に負担がかかりにくいということになります。肘が60度より伸びて投げているともしかしたら痛めるかもしれません。

当院では「野球肘」の患者さんには、実際の投球フォームを動画で撮影し、確認してもらっています。肩や肘の位置を確認し、投げ方の調整をします。
肘の角度が大きくても小さくても、負担をかけると容易に靭帯を痛めてしまう可能性があります(T_T)
気をつけて下さいね♫

引用

Yusuke Matsuura et al., Evaluation of anterior oblique ligament tension at the elbow joint angle-a cadaver study

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32565411/

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