お相撲さんがつけている、あの『肌色のテープ』は首の痛みに効果的?

答え:効果があるようです

よくお相撲さんが貼っているあの茶色のテープ、おそらく「キネシオテープ」*1だと思いますが、我々もよく臨床現場で使います。

用途は様々で、テープを貼れる所であれば、どこにでも貼ることができるとても使い勝手の良いテープです(^^)
伸縮性に富んでおり、多方向に伸縮するところが特長です。

そのキネシオテープが「頚部痛(首の痛み)に効果があるか?」の調査研究を紹介します(1)。
※トルコの研究です→世界的にも有名なテープということが伺えますよね♪

対象☆18歳以上の首から肩にかけての筋肉を押して痛い方
☆症状が3ヶ月以上続く方
(線維筋痛症や神経内科的病気の方は除外)

図のように、痛みが出ている場所にキネシオテープを貼りました(痛みが出ている部位を伸ばすように首を曲げて、その上に少し引っ張ったキネシオテープを貼ります)。これを3日間貼ったら貼り直す、を繰り返し、15日間(計5回貼り直し)テーピング治療をしています。

出典:

(1) Saime Ay et al. The effectiveness of Kinesio Taping on pain and disability in cervical myofascial pain syndrome

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28343625/

 

〈評価方法〉
①痛みの強さ
②肩こりを起こしている筋肉を押した時の痛みの感度
③首の動き(お辞儀したり、左右に向いたり、首を反らしたり)
④首の痛みによって起こる日常生活の障害度

15日後→①〜④全てに改善がみられたそうです!

キネシオテープを使った治療効果は様々な報告がありますが、「頚部痛にも効果ある」ようです。湿布もいいですが、テーピングを試してみるのもいいかもしれませんね。

色々な効果を発揮するがテープですが、肌の弱い方はかぶれてしまうことがあります。初めてテーピングをするときは、肌の状態をよく観察しながら使用してください(^_^)

*1https://www.kinesiotaping.jp/kinesio_tex/index.html

引用

(1) Saime Ay et al. The effectiveness of Kinesio Taping on pain and disability in cervical myofascial pain syndrome

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28343625/

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激しい運動は慢性腰痛に効果的?

答え:効果的かも 。。→でも…年齢・体調相応の運動量 (^_^;)で!!

これまで、ストレッチや筋トレ、中等度の有酸素運動は慢性腰痛に効果がある、といった報告はありましたが、高強度有酸素運動(息がきれるほどの激しい運動)は効果があるか?を調査したものはあまりありませんでした。

今回は、慢性腰痛の方に対して上記の効果を検証した報告を紹介します(1)。
しかし、調査対象者が20名で平均年齢が42歳という小規模調査なので、その点を考慮した上で参考にして貰えればと思います(^_^;)

対象20名を、運動グループ(平均42歳)と運動しないグループ(平均41.5歳)に無作為に分けて、運動グループには、12週間の高強度有酸素運動(息がきれるほどの激しい運動)を受けてもらった。

『高強度有酸素運動とは』
☆15分間のウォーミングアップを行う(手足を動かす運動とストレッチエクササイズ)
☆トレッドミルで最大心拍数の60%〜85%で週3回30分〜50分→12週間走る。結構大変*\0/*
☆最初の3週間は調整期間→徐々に心拍・走行時間増やしていく。
☆ランニング負荷(7〜8km/h)を行う

運動しないグループは、物理療法などを12週間行うのみ。

評価
①腰痛の強さ
②腰痛による日常生活の障害度
③精神的負担
④血清コルチゾール濃度(ストレス度を確認)

結果 :運動グループは①41%↘️ ②31%↘️ ③心理的緊張35%↘️。④には変化なし。

運動しないグループは①〜④全て変化なし。

これらのことから、定期的な激しい(?)運動は、慢性腰痛の①痛み ②日常生活の障害 ③心理的緊張を和らげてくれるようです。

運動して汗をかくと、爽快な気分になりますよね♫激しい運動でなくとも、ウォーキングなどの軽い運動でも腰痛改善に効果的なので、運動は是非続けてください(くれぐれも無理は禁物!)。

引用(1)

Dimitris Chatzitheodorou et.al. A pilot study of the effects of high-intensity aerobic exercise versus passive interventions on pain, disability, psychological strain, and serum cortisol concentrations in people with chronic low back pain

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17284546/

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〇〇は腰の椎間板にもよくない

答え:肥満

椎間板とは、背骨の骨と骨の間にあるクッションのことです。組織学的には線維軟骨と言われています。クッションの役割をするので、背骨にかかる衝撃を吸収してくれます。腰椎(腰の背骨)にも椎間板があります。

この椎間板を何らかの原因で痛めてしまうのが「椎間板変性」「椎間板障害」「椎間板ヘルニア」などです。椎間板には痛みを感知する神経がある(1)ので、痛めると腰痛が出ます。
椎間板ヘルニアは、椎間板が飛び出てしまう→飛び出た先に神経あり!→神経痛(例:坐骨神経痛)が出現する可能性(高)

今回は、その椎間板の障害と肥満は関係があるか?を調査した論文を紹介します。

椎間板障害 1749名と、椎間板障害なし 1885名を体重(今回はBody mass index (BMI))に注目して比較しています。

WHO(世界保健機関)の基準。Body mass index (BMI)*1を基準に体重を評価

BMI 18.5以下:痩せ型
BMI 18.5〜24.9以下:ノーマル
BMI 25〜29.9以下:過体重
BMI 30以上:肥満

椎間板の障害→腰椎の椎間板ヘルニアや、椎間板障害、椎間板の変性とする。

結論:過体重や肥満と椎間板障害は非常に高い関連性がある!とのことです。椎間板はクッションの役割をしているので、体重が多いと椎間板に負担がかかるのは当然ですね(^_^;)

私が担当している腰椎椎間板ヘルニアの方(BMI25以上)が、1年かけてダイエットした結果(BMI25未満に!)、腰痛や坐骨神経痛が改善していました。
過体重・肥満の方で椎間板障害による腰痛がある方は、ストレッチや筋トレと併せてダイエットも行うと、より効果的だと思います(^_^)

(1)http://pain-physio.net/椎間板には痛みを感じる神経がある?ない?/

(2) Xian Xu et.al Association Between Overweight or Obesity and Lumbar Disk Diseases: A Meta-Analysis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25500506

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ゴルフ、テニスのようなスポーツは体を左右に回す筋力に差はある?

答え:左右差あり!利き手側の方が筋力強い^^

ゴルフ、テニスなどのスポーツはクラブやラケットを持つので、左右非対称の動きが多いです。体を回す動作を行うために筋力に差が生じてしまうのです。
非対称性スポーツ選手に対して、体を回す筋力に差があるかないか?を調査した論文があったので紹介します(1)。

対象はテニスやゴルフ、アイスホッケー選手群と運動をしていない群です。
体幹回旋の加速度と筋力を比べます。

ゴルフ選手、アイスホッケー選手各17名、テニス選手21名と運動をしていない群39名です。
加速度や筋力は、バーベルにセンサーをつけてそれを担いで体を左右に回して測定しています。また対象の利き手、非利き手を確認し、それぞれの回旋筋力の関係も調査しています。

結果→回旋加速度・筋力について、アイスホッケー・テニス・ゴルフ選手で明らかに利き手側の数値が高かったそうです。非利き側と比べて14%〜17%加速度・筋力が出ていたそうです。
それに比べて運動しない群は、それらの数値に左右差はありませんでした。

当たり前のようですが「運動しない方は左右差がなかった」というのは驚きです。スポーツは同じ動作を繰り返すので片側、特に利き手側に筋力がつきやすいようです。
スポーツやトレーニングにより、筋力に左右差が出ることがわかったので、そのバランスの崩れが機能障害(整形外科的)につながるのかもしれません。たまにプロゴルファーで逆スイングをする選手がいますが、本能的にバランスを整えているのでしょうか??

スポーツ愛好家の方は多いと思います。筋力のバランスが崩れないように、調整トレーニングも頑張ってください♫

引用

(1)Erika Zemková et al Between-side differences in trunk rotational power in athletes trained in asymmetric sports

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=10.3233%2FBMR-181131

 

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〇〇神経痛も肥満と関わりがある!

答え:坐骨神経痛

以前、「肥満と腰痛は関係あり」と紹介しました。今回は、『坐骨神経痛*1も肥満と関係あり』という研究を紹介します。まずは、肥満の基準です。下記の基準と坐骨神経痛は関わりがあるか調査しています(1)。

WHO(世界保健機関)の基準。Body mass index (BMI)*1を基準に体重を評価

①BMI 18.5以下:痩せ型
②BMI 18.5〜24.9以下:ノーマル
③BMI 25〜29.9以下:過体重
④BMI 30以上:肥満

上記のBMI基準のうち、
③は1.12倍
④は1.31倍
①②と比べて坐骨神経痛を発症する危険度が高くなるそうです。(男女差無し)
肥満が坐骨神経痛を起こしてしまう明確な理由は解っていませんが、③④だと腰に負担がかかり、腰から出ている坐骨神経を痛めてしまうのだと思います。
また肥満は低レベルの炎症を引き起こすとも言われており、それが坐骨神経痛にも関わっている可能性もあります。
肥満は腰痛だけではなく、坐骨神経痛にも影響するのですね。太りすぎないように気をつけましょう。
坐骨神経痛とは…
腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」がさまざまな原因によって圧迫・刺激されることであらわれる、痛みやしびれるような痛みなどの症状のことを指します。
多くの場合、腰痛に続いて発症し、次第にお尻や太ももの後ろ、すね、足先などに痛みやしびれるような痛みがあらわれます。
引用:痛みのサイト 疼痛.jpよりhttps://toutsu.jp/pain/zakotsu.html

引用
(1)Rahman Shiri et al. Obesity as a risk factor for sciatica: a meta-analysis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24569641/

 

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TABATAトレーニングって従来の有酸素運動トレーニングと比較してどうなの?

答え:両方とも有酸素能力向上効果はあり。でも…TABATAトレーニングの方が短時間で済む♪

1996年に田畑先生が考案した高強度トレーニングを4分間続ける(実際は、20秒高強度トレーニング10秒休みを8セット)TABATAトレーニングは、中等度の有酸素運動を1時間行うよりも、有酸素及び無酸素運動能力が上がると言われています(1)。

これまでのTABATA トレーニングについてまとめた論文を紹介します(2)。

1996年〜2017年までで検索した論文の中、基準に見合った30の論文からの結論です。各論文、トレーニング方法が異なっていたり、評価の指標が曖昧なものをも多かったそうです。その中でも基準にあった30の論文からの結論は。。。

TABATAトレーニングは、従来の有酸素運動トレーニングと比較して同様の有酸素能力向上がみられる。なんだ一緒じゃんと思ったら…「より少ない時間で^^」とのことでした。

『より少ない時間』がポイントです。プロトコールは週5回だったと思います(原文は週5回の6週間で効果あり)。1回が4分で終わるのは魅力的ですね。…ただ運動自体はかなりハードです(++)(持病がある方は専門家と相談したほうがいいと思います)1時間ランニングするよりはいいな〜、と思われる方もいるかもしれません。

ただし、ダイエットに関しては TABATAプロトコールの有用性はなかったようです。。。残念。

(1)Tabata I, Nishimura K, Kouzaki M, et al. Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on

Anaerobic anaerobic capacity and VO2max. Med Sci Sports Exerc (1996); 28: 1327–1330.

(2) Ricardo Borges Viana et al. Tabata protocol: a review of its application, variations and outcomes

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29608238/?from_single_result=Tabata+protocol%3A+a+review+of+its+application%2C+variations+and+outcomes

 

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肥満は腰痛に関わる?

答え:肥満と腰痛は関係あり!!

「肥満と内科的な病気には密接な関わりがあるけれど、腰痛との関わりは果たしてあるのか?」を調査した論文があったので紹介します(1)。
今回の論文は『メタ分析』といって、世に出ている論文をピックアップして解析しています。メタ分析は、論文の中の論文といえる科学的根拠が強いものです。

《結果》

WHO(世界保健機関)の基準。Body mass index (BMI)*1を基準に体重を評価

BMI 18.5以下:痩せ型
BMI 18.5〜24.9以下:ノーマル
BMI 25〜29.9以下:過体重
BMI 30以上:肥満

上記のBMI基準のうち「過体重と肥満は、腰痛と関係あり」との結果でした。過体重以上は腰痛と関わりがあるとの結果だったので、BMI 25以上の方は要注意ですね。
過去には、「男性に限り、肥満は腰痛と関係あり」「男女ともに過体重は腰痛に関わらない」との報告もありましたが、今回の論文は2018年に出たものなので、最近の知見といえます。現時点では『肥満と腰痛は関係あり』と考えていいと思います。

肥満と膝の痛みの関係は昔から言われていたことですが、肥満は腰痛にも関係があると知っていれば、腰痛予防につなげていけると思います。

*1 BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。健康を維持するためは日頃からBMIを把握することが重要です。

計算式はBMI 体重kg ÷ (身長m)2

引用:https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228732

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27875413

 

 

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腰部脊柱管狭窄症のリハビリは…1・自宅での体操 2・理学療法士が行うリハビリ どちらが効果的??

答え:2の理学療法士^^

腰部脊柱管狭窄症で困っている方は多くいます。様々なリハビリの方法がありますが、今回は『自宅での体操VS理学療法士が管理したリハビリ どちらが効果的?』を検討した論文を紹介します。

患者さん(脊柱管狭窄症)を2つのグループに分けました。
①自宅で体操をしてもらうグループ
②理学療法士の管理下で週2回のリハビリを、6週間行うグループです。

①の体操グループはお尻や腹筋、バランス運動などをしてもらいました。②の管理グループには①の運動に加え、個々人に合わせた理学療法士によるストレッチや筋トレ、自転車訓練、ウォーキングマシンなどを行いました。

痛みの強さ、自分のペースでどの程度歩けるか?日常生活にはどれくらい困っているか?などの質問で評価をしたところ…

《結果》②の理学療法士による管理グループの方が、症状が改善した!とのことです。

私たち理学療法士にとってホッとする結果となり、胸を撫でおろしました♫

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骨粗しょう症って痛みが出るの?

答え 痛みがある患者さんもいます

日本で骨粗しょう症の患者さんは、女性 24%男性 5%で、推定患者数は1300万人に達すると言われています。

骨粗しょう症は、20〜40代と比べて骨が弱くなっている状態です。 症状は骨折、それに伴う痛みにより動作が鈍くなったりします。

骨粗しょう症の方が腰痛や背中の痛みを起こす割合は33%と言われています。 また、その痛みのために80%が日常生活に制限を感じていて、90%以上が日常生活に支障をきたしています(1)。

骨粗しょう症に伴う痛みは、骨折による痛みや骨折後に骨が変形して起こる痛みが原因と考えられてきました。しかし、最近の研究では骨粗しょう症自体が痛みを引き起こしているのではないか、と言う報告があります。これは、骨粗しょう症の方は骨折していなくても腰や背中に痛みを訴えることがある、ということです。

今まで骨の痛みは、骨の表面にある骨の膜(骨膜)が刺激されて痛みを起こすと考えられてきました(2)。しかし研究が進み、痛みを感じる神経が骨の中にも存在することがわかってきました(3).

骨粗しょう症になる→骨を壊す細胞が活性化→その細胞が産生する酸が増加して局所的に酸性になる→ 骨の中の感覚神経を興奮させて痛みが引き起こされる(4)と考えられます。

骨粗しょう症による腰痛の原因については、まだまだ不明な点が多いようです。

骨粗しょう症患者の中には、骨折をしていないのに痛みがある方や、骨粗しょう症薬を飲むと痛みが軽減する方もいるで、骨粗しょう症自体が痛みを出す可能性も大いに考えられます。今後ますます研究されていく分野だと思います!

食事や運動も骨の強さ回復に関わるので、薬に頼るだけではなく、運動や食事に気を配り骨粗しょう症予防をしていくことが大切です。女性(特に閉経後!)は男性と比較し、骨粗しょう症になりやすいのでお気をつけください>.<

引用

(1) 折茂 肇  診療所に通院する骨粗鬆症患者の服薬コンプライアンスと腰背部痛の現状
Osteopor osis jpn 15:351-358

(2) Bonica, J.J.: Management of pain Lea & Febiger, Philadelphia, 1953

(3) DB Mach, SD Rogers, MC Sabino,: Origins of skeletal pain: sensory and sympathetic innervation of the mouse femur. Neurosci. 113: 165-166, 2002

(4)S Ohtori, T Akazawa, Y Murata et al., Risedronate decreases bone resorption and improves low back pain in postmenopausal osteoporosis patients without vertebral fractures. Journal of Clinical Neuroscience Volume 17, Issue 2, February 2010, Pages 209-213

(1) Juichi Tonosu et al.The associations between magnetic resonance imaging findings and low back pain: A 10-year longitudinal analysis

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29141001

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腰痛のある無しで、10年後のMRI画像に違いがあるか?

答え→関係なし! (*ただし年齢は考慮)

腰痛があると、レントゲンやMRI検査をすることがあります。MRI検査は椎間板や筋肉、関節の詳細な情報を得られます。整形外科でも大切な検査です。
MRIで椎間板ヘルニアや椎間板の状態がよくわかり、それにより腰痛の原因が診断ができます。
今回の研究は、過去に腰痛が出たかどうかで10年後!のMRI画像に違いがあるかどうかを調査した非常に興味深い内容です(1)。

過去に腰痛があった91名で、調査開始の時点では
腰痛がない方です。最初にMRI検査をしています。
MRIの評価内容は、椎間板の変性度(痛み具合)、すべり症(腰の骨が前にすべること)、椎間板内の亀裂、腰の骨の負担具合を確認しています。

そして10年後にMRIを再撮像して、上記と同じ評価をしています。また対象者には、10年間で腰痛の出現の有無を聞いています。

結果→10年後までフォローできたのは49人。平均年齢44.8歳、女性25名、男性24名。その内、10年間で腰痛有り→6名
無し→13名

10年後のMRI画像上の変化は、腰痛の有無で変化はないとのこと。
(*椎間板の亀裂、痛みは10年後には増えていたようです。しかし腰痛の出現の有無は関係なし)

このことから「最初のMRI画像の状態で、将来の腰痛は予想できない」と言えるようです。

注意:
10年後のMRI検査時点で平均年齢は44.8±9.5歳なので、10年前は30〜40代です。ですから30〜40代くらいの方々の画像が少々悪くても、10年後に腰痛が出やすいとは言えません。ただし、50歳以上の方に関しては同様の結果になるとは言えません。

肌でいうと年齢を追うごとにシワが増えると同様に、腰痛の有無に関わらず画像上ではそれなりに変化あるようです。

腰痛が再発したからと、その都度MRIを撮影し、画像上の変化に落ち込まれる方もいます。
しかし今回の研究結果をみると、腰痛が再発しなくても10年経過するとそれなりに身体の変化あることをお伝えできると思いました。少し気持ちが楽になる方が増えると嬉しいです^_^

引用

(1) Juichi Tonosu et al.The associations between magnetic resonance imaging findings and low back pain: A 10-year longitudinal analysis

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29141001

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30分以上定期的に歩かないと、◯◯症の危険度が上がる(*_*)

答え:認知症

「整形外科と認知症」はあまり関係がなさそうですが…関係あります!今回は、膝や腰の痛みと認知症に関係があるかを調査した研究を紹介します。

14627人の65歳以上の方を対象に、①認知症の確認②社会経済的要因(仕事、家族状況一人暮らし、既婚などそして収入・)③心理社会的要因(不安、悩みなど)④膝や腰の痛みを確認し、3年間の追跡調査をした結果…

『65歳〜79歳で膝に痛みがあり、定期的に歩かない人は認知症のリスクが高まる!』との結果でした。その方の社会経済的・心理社会的要因と認知症リスクは無関係とのでした。

膝が痛くなく定期的に歩けるかどうかが鍵のようです。

膝の痛みがあると歩行は制限されますね。そのために認知機能にまで影響してしまう。。。気を付けたいですね。膝の症状に対するリハビリも多くあるので、またご紹介します♪

《注意》この記事を読んで「よし、歩けば認知症予防にもいい!」と一念発起し、急に歩き過ぎて膝を痛める患者さんは少なくありません。(本末転倒です>.<)
急な運動にはくれぐれもご注意ください。「膝は痛いけど、歩かなきゃ!」と絶対に無理はしないで、まずは整形外科で膝を治してからウォーキングを楽しんで下さいね。

引用

(1)Keiko Yamada at al. A prospective study of knee pain, low back pain, and risk of dementia: the JAGES project

 

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デスクワークでの肩こりにはこの体操が効果的♫

新型コロナウイルスの影響で、自宅でのデスクワークが増えた方も多いと思います。デスクワークの方に多い症状は、肩こりなどの首周りの症状です。そんな方に、効果的なリハビリがあるのでご紹介します(1)!

デスクワークをしている20名を対象とした研究があったので紹介します。11名に図のような体操をしてもらい、残りの9名は何もしないグループで効果を比較します。

出典:JaeHyuk Lee et al. Effectiveness of an application-based neck exercise as a pain management tool for office workers with chronic neck pain and functional disability: A pilot randomized trial

 

1.あごを引く運動
2.首を後ろに曲げる運動
3.首を側方に曲げる運動
4.首を回す運動
5.首を前に曲げる運動
6.首を少し回しながら後ろに曲げる運動

各運動を5秒ずつ6回行い、1週間に最低2回、これを8週間行います。結果→体操をしなかったグループと比較して、首の痛みの強さや、痛みによる日常生活への支障が改善されたそうです。

この研究は、スマートフォンのアプリを利用して行ったとのことですが、図をみればそれほど難しくないと思います。

ただこの研究は、病院に通院している方が対象ではなく、通院していない方を対象としています(平均年齢も比較的若く27歳くらいです)。実際に病院を受診される方の中には、痛みが強くて首を動かすことも困難な方もいます。そのような方には、この体操は適応外です。今回紹介した体操は《肩こり体操》と思って頂ければと思います。

肩こりに困っている方は沢山いるので、このような簡単な体操で改善ができるといいですね♪

引用(1)JaeHyuk Lee et al. Effectiveness of an application-based neck exercise as a pain management tool for office workers with chronic neck pain and functional disability: A pilot randomized trial

 

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膝が急に痛い(特に膝の後ろ側)!中高年に多い内側半月板後根断裂はどんな時に起こる??

答え 〈階段を降りたり、坂を下る時〉

「内側半月板後根断裂」は中高年の女性に多く発症するそうです。岩国医療センターの児玉先生が詳しく解説されています(1)。整形外科を受診する患者さんの中にも多くいらっしゃいます。
膝の関節にはクッションとなる「半月板」という組織があります。半月板という言葉を一度は聞いたことがあると思います。スポーツをしている方が痛めてしまう印象が強いですが、この疾患は中高年に起こる半月板の特殊な断裂形態です。

今回は、この内側半月板後根断裂がどのような状況で起こるかを調査した論文(2)を紹介します。
内側半月板後根断裂と診断された100名の患者さんを調査しています。対象の患者さんに対して、どの時点で痛みが出現したのか?詳細な聴取を行っています。

結果は、階段降りる動作やスロープを下がる動作で38%、歩行での受傷(痛めた瞬間)は18%、そして、スクワットのような膝を曲げる動作での受傷13%、その他のパターンでの受傷が10%以下ということでした。

階段を下る動作やスロープを下がる動作に、受傷頻度が多いようでした。しゃがんで膝を曲げるような動作の方が半月板を傷める印象がありましたが、今回の結果で膝をそれほど曲げない状態でも受傷してしまうということが分かりました。

変形性膝関節症と診断されている人は、内側半月板後根断裂損傷を起こしやすいと言われています。

歩行中(主に下りる動作)に傷めてしまうというのは脅威です。(1)の資料にも記載してあった通り、パキっという音とともに膝の裏側に痛みを感じた場合は、すぐに専 門 医 に 相 談 し ま し ょ う。MRI 検 査 による診断が必要です。ちなみに私の母も痛めてしまいました。。。

(1) https://iwakuni.hosp.go.jp/files/000104062.pdf
(2)Takayuki Furumatsu.et.al: Injury patterns of medial meniscus posterior root tears
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30442555

 

 

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腰痛椎間板ヘルニア患者の腰痛に超音波治療は有効か?!

答え:有効のようです

リハビリテーションの治療は、主に徒手療法(理学療法士が手を使って直接患者さんの治療をする)と運動療法(運動を患者さんにしてもらい治療をする)、そして物理療法(温熱や電気を使った物理的刺激で治療する)の3つがあります。

物理療法の中でも、超音波療法*1は古くから行われています。今回紹介するのは「超音波療法は腰痛に効果があるのか?」を報告した論文です。1983年の論文ですが、詳細に調査されており超音波療法の有用性が理解できる内容です(1)。

1978年から1980年の間に腰のヘルニアと診断され、腰痛を有した73名を対象としています。年齢は35〜45歳です。ヘルニアの診断は、この時代なのでMRIではなく造影レントゲンにて診断しています。

患者さんを3グループに分けています。
1超音波療法とベッド安静
2偽超音波療法とベッド安静
3ベッド安静と鎮痛剤

以上の3つのグループです。
偽超音波治療は超音波のスイッチをオフして行ったそうです

超音波、偽超音波の治療場所は、ヘルニアが認められた腰の部位です。
患者さんに対しての腰痛の評価として四つの質問を行いました。
1  痛みはない
2 痛みはわずかに残っている
3 改善した
4 変化なし

結果→「超音波療法群」で腰痛の改善が認められました。また体の柔軟性も3つのグループの中で、超音波療法グループがより改善していたとのことでした。
今回の調査では基本的にベッド安静なので、超音波療法は有効性は頷けます。しかし昨今の腰痛治療では、痛みの程度に合わせて体は動かした方がいいといわれています。ベッド安静がいいわけではないところはご注意を。超音波療法は自宅ではなかなか難しいですが、整形外科でリハビリを行っているところでは超音波療法ができる施設も多いと思います。

*1超音波治療ってなんですか?

超音波治療とは、リハビリテーションでよく行われる物理療法機器です。物理療法とは、体に物理エネルギー(温熱、寒冷、電気刺激、光線、その他)を加えること で、生理的生化学的変化を起こし、血液循環の改善、筋の緊張や痛みを除去、軽減するものです。リハビリに行くと腰に電気かけたり、痛いところを温めたりする治療です。

超音波とは高周波に位置付けられています。高周波って?ですが、電気振動が1秒間に繰り返される現象のこと周波数と行ってヘルツで表されます。例えば4ヘルツは、1秒間に電気振動が4回行き来することです。よく低周波という名前は聞いたことある方もいると思いますが、低周波は100ヘルツ以下を言います。

高周波は低周波より高い周波数で 3万ヘルツ以上を高周波としています。ここで超音波ですが、超音波はなんと1Mヘルツ〜3Mヘルツです。メガです!1秒間に100万回から300万回の電気振動を起こします。まさに『超』です。
そしてこの超音波は、この周波数を使い細胞を振動させる作用により温熱効果をうみます。1秒間に100万回細胞をマッサージされている状態です。人の手では作り出せません。我々理学療法士はこの超音波を利用し、短時間で筋肉や組織の温度を上げることで治療効果を高めているのです。

 

(1) Ultrasound in treatment of back pain resulting from prolapsed intervertebral disc

bmed.ncbi.nlm.nih.gov/6218793/

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◯◯◯ボールを慢性腰痛を治しましょう

答え 〈テニスボールにより腰周りマッサージ〉

慢性腰痛の方でお悩みの方も多いと思います。実際に整形外科に通院し、リハビリを行っている方も多くいます。しかし、病院へ毎日通院するのは難しく、いかに自宅でリハビリを継続できるかが腰痛改善のポイントといえます。
慢性腰痛の治療には、歩行(早歩き)、ストレッチ、コアトレなど様々な方法をこれまで紹介してきました。今回は、テニスボールを使って腰周りのマッサージをする方法を紹介します。実際に論文で効果も検証(1)されていますので、試してみる価値はあると思います。

対象は高齢者慢性腰痛患者15名です。研究ではシリコンボールを使っていますが、テニスボールを代用しても可能だと思います。

マッサージを行う筋肉は、大殿筋(お尻の筋肉)、中殿筋(股関節の横の筋肉)、腸腰筋(股関節の前の筋肉、そして腰方形筋(腰の筋肉)です。各筋肉に対して筋肉の痛むところを1分間テニスボールでマッサージをして、1分間休むというのを4セット行ってます。

大殿筋
仰向けで両膝を立てて、お尻の下にテニスボールを入れて行います。

中殿筋
女の子座りのような姿勢で、股関節を開いた側のお尻の横にテニスボールを入れて行います。

腸腰筋
うつぶせで少し股関節を開いた状態で、股関節下にテニスボールを入れて行います。

腰方形筋
仰向けで片方の膝を両手で抱えます。抱えた側の腰にテニスボールを入れて行います。

*マッサージの強さは、痛いけど気持ちのいい範囲で行ってください。

結果
マッサージを開始して1週間で腰痛への効果が現れ、6週間後には改善していたとのことです。さらに、背骨の関節や筋肉の柔軟性も改善したそうです。

今回の研究は、ボールでのマッサージを行ったグループでしか検討していませんので、他の治療(例えばストレッチや筋力トレーニング)と比較していません。ですから、今回のボールマッサージが他の治療よりも優れている、とは断言できません。
しかし、テニスボールは安価なので準備しやすく、マッサージ方法も自宅で簡単にできるので是非試してみて下さい。

(1)Effect of myofascial trigger point therapy with an inflatable ball in elderlies with chronic non-specific low back pain

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Effect+of+myofascial+trigger+point+therapy+with+an+inflatable+ball+in+elderlies+with+chronic+non-specific+low+back+pain

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3ヶ月以上続く腰痛には〇〇トレーニング

答え: コアトレーニング

(*患者さんのレベルに合わせて行うコアトレーニングが有効です)

外来腰痛患者15名に対して、コアトレーニング*1は有効かどうか?を調査した研究です(1)。腰痛の程度は、Visual Analog Scale*2(VAS)で4以上を対象としています。激痛ではなく、中等度の痛みを感じる患者さんです。慢性腰痛は「3ヶ月以上続く腰痛」と定義しています。整形外科に受診する患者さんで、3ヶ月以上症状が続く方は少なくありません。

コアトレーニングを図に示します。図の縦列に、仰向けから腕立てのような7つのポジションが記載されています。横列は、各トレーニングのレベルを示しています。右にいくにつれてトレーニングの強度が上がっていきます。

出典:The Effect of Lumbar Stabilization and Walking Exercises on Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31261549/

コアトレーニングの方法は、はじめにストレッチを行ったあとコアトレーニングを開始します。コアトレーニングのメニューは、図の中から自分に合ったものを選びます。レベルに合ったトレーニングだとその姿勢を保てるものです。少しでもバランスを崩してしまうものは適していません。

7つのポジションをそれぞれ30秒程度を5回、それぞれ可能な限り繰り返し、合計25分間行いました。
それを6週間行った結果は、腰痛の程度を示すVASが6.9から3.5に改善しています。また、腰痛に対するいろいろな質問(長く歩けますか?日常生活に腰痛は影響しますか?など)をするテストも6週間後は改善していました。
「コアトレーニングは腰痛に対して効果的」との報告は以前からありましたが、今回の研究ではコアトレーニングのレベル分けをしてあるのが新たな知見です。不適切なトレーニングを続けるより、自分に合ったトレーニングを選択し実行することでより腰痛改善を狙えるようです。

*1 コアトレーニングとは身体のコア(核)となる脊柱(体幹)に近い部分から意識的、優先的に鍛えるトレーニング様式のことで、インナー・マッスル・トレーニングともいう。
体幹筋にあたる腹横筋(ふくおうきん)、多裂筋(たれつきん)、横隔膜(おうかくまく)、骨盤底筋(こつばんていきん)などを集中的に鍛えることによって身体バランス、「動き」を改善する。 コアトレーニングのイメージとして「フルカン」「リング」「ニュートラルスパイン」などが使われる。
体幹部を鍛えることで、多くの競技に通じる、汎用性に富んだ筋力向上を図る。 筋肉は本来、体幹に近い部位ほど大きく高出力に出来ているため、運動能力への寄与も大きい。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0

*2 VASとは、Visual Analog Scaleの略であり、目的としては痛みの強度を測定するものである。 また、視覚的評価スケールとも呼ばれる。 紙に10cm(100mm)の直線を書き、その左端に0、右端に100の数値を記入した測定スケールを用意する(10ごとに数値を記入する場合もある)右端の10はこれまで経験したことのない痛み、左端の0は全く痛くないと設定し記載してもらいます。

(1) The Effect of Lumbar Stabilization and Walking Exercises on Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31261549/

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中年の肥満男性の腰痛は、〇〇トレーニングで治しましょう
結論:水中トレーニンング

中年になると肥満気味になる患者さんも多いかと思います。そして、肥満は腰痛の原因にもなるので、肥満と腰痛の両方に悩む方も多いと思います。今回は、そのような方に対してどのようなトレーニングが有効か、という研究報告(1)があったので紹介します。

36名の中年男性 平均年齢は62.3歳、平均身長は163.1cmの腰痛症患者、体脂肪率は35%以上の方を対象としています。36名のうち18名は何もしないコントロール群、残りの18名は水中トレーニング群とします。

水中トレーニング群は4ヶ月間行って、3ヶ月以上症状が続く方は1週間に3回(1回に60分間の水中トレーニング)、運動の負荷が最大酸素摂取量*の40から50%の負荷量で行いました。トレーニングの内容は、15分間はストレッチ(関節の大きな筋肉を中心に)。そして水中ウォーキングを前・後・側方、水中でジョギングなどを行い、またスクワット・自転車こぎの様な運動も行います。

結果は、水中トレーニング群は明らかに歩行速度が改善しています。体重は平均83.5キロから79.2キロに減少、体脂肪率も平均37%から32.6%に減少しました。そして、腰痛も改善したとのことです。

肥満になると、ひざ関節や股関節、足関節などの体重がかかる部位に負担がかかるので、激しいトレーニングはなかなか出来ません。しかしながら、このような水中トレーニングだと、関節に負担がかかりにくいので有効かと思います。

今回の研究ような運動(水中で60分間)はなかなか難しいと思います。しかし、 関節に負担かけないように安全にできるトレーニングとしては、プールでのトレーニングはいいと思います。「プールがいいのはわかってるけど、なかなか時間がなくて…」と言われる方もいるかと思います。プール以外にも
足の関節に負担かからないトレーニングもありますので、後々紹介していきたいと思います。

*最大酸素摂取量とは
私たちは呼吸をすることで酸素を体内に取り入れ、酸素を利用して糖や脂質を分解することで運動エネルギーを作りだしています。運動強度が高くなったり運動継続時間が長くなったりしても、体内に十分な酸素を取り入れ利用することができる能力が全身持久力です。そのため最大酸素摂取量は全身持久力の指標として用いられます。
 最大酸素摂取量は1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量(ml/kg/分)を示し、「VO2max」(Volume〔量〕、O2〔酸素〕、max〔最大値maximum〕)と略記されます。
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tairyoku-kiki/sanso.html

(1) The Effect of Water-Based Aerobic Training on the Dynamic Balance and Walking Speed of Obese Elderly Men with Low Back Pain
Khadijeh Irandoust, Morteza Taheri, Javad Shavikloo

http://www.sleepandhypnosis.org/ing/abstract.aspx?MkID=257

 

 

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いつでもできるウォーキングは腰痛に効果的??
結論:早歩きなら効果的

外来腰痛患者15名に対して、歩行は有効かどうか?を調査した研究です。腰痛の程度は、Visual Analog Scale(VAS)*で4以上を対象としています。激痛でく、中等度の痛みを感じる患者さんです。慢性腰痛は「3ヶ月以上続く腰痛」と定義しています。整形外科に受診する患者さんで、3ヶ月以上症状が続く方は少なくありません。

その方々に30分間複式呼吸をしながら、平らな道を早歩きしてもらいました。それを週5日、6週間続けてもらうと…

結果
調査前の痛みはVASで6だったのが、6週間後は3.6まで下がりました。また、腰痛に対するいろいろな質問(長く歩けますか?日常生活に腰痛は影響しますか?など)をするテストも6週間後は改善していました。

ただ歩くだけでは今回の研究のような結果を出すことは難しいと思いますが、『早歩き&腹式呼吸』は効果ありそうです。いきなり早歩きで30分歩くのは大変なので、通常の散歩の中に早歩きを取り入れると、無理なく続けられるのではないでしょうか。

*VASとは、Visual Analog Scaleの略であり、目的としては痛みの強度を測定するものである。 また、視覚的評価スケールとも呼ばれる。 紙に10cm(100mm)の直線を書き、その左端に0、右端に100の数値を記入した測定スケールを用意する(10ごとに数値を記入する場合もある)右端の10はこれまで経験したことのない痛み、左端の0は全く痛くないと設定し記載してもらいます。

The Effect of Lumbar Stabilization and Walking Exercises on Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31261549/

 

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腰の疲労骨折を診断できるのは◯◯◯検査
MRI検査です  *MagneticResonanceImaging:磁気共鳴画像診断装置

このブログでも多く紹介している腰の疲労骨折。実際に診断する方法は今の所、『MRI検査』が一番です(1-3)。MRI検査は磁気を利用した検査なので、放射線を使用したレントゲン、CTとは違い被爆しません。安心して受けて頂ける検査です。

図はMRIの画像で、腰を撮影したものです。矢印のところの白くなっているところが、疲労骨折を起こしている場所です。疲労骨折は、骨折をする前の骨の炎症です。レントゲンでは診断が難しくてもMRIなら一目瞭然です。

スポーツをしている成長期のお子様で腰痛がある場合は、整形外科で相談してみてください。

出典:Characteristics of Low Back Pain in Adolescent Patients With Early-Stage Spondylolysis Evaluated Using a Detailed Visual Analogue Scale
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25341981/

(1) Sairyo K , Katoh S , Takata Y , et al. MRI signal changes of the pedicle as an indicator for early diagnosis of spondylolysis in children and adolescent: a clinical and biomechanical study . Spine 2006 ; 31 : 206 – 11 .

(2) Masci L , Pike J , Malara F , et al. Use of the one-legged hyperexten- sion test and magnetic resonance imaging in the diagnosis of active spondylolysis . Br J Sports Med 2006 ; 40 : 940 – 6 .

(3) Fujii K , Katoh S , Sairyo K , et al. Union of detects in the pars intera- articularis of the lumbar spine in children and adolescents: the radiological outcome after conservative treatment . J Bone Joint Surg Br 2004 ; 86 : 225 – 31 .

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変形性股関節症と変形性膝関節症の患者さんは◯◯の中でトレーニングすると効果的
結論:プール

変形性股関節症と変形性ひざ関節症の患者さんは多くいらっしゃいます。この病気の特徴は関節の軟骨が摩耗して変形してしまうところです。 この病気で辛い思いをされている方も多いと思います。
関節が痛む病気なので、体重をかけたりするとより関節に負担がかかり、痛みが出たり変形が進んでしまったりするところが厄介です。今回、オーストラリアのメルボルンで行われた研究を紹介します。71名の変形性股関節症と変形性膝関節症の患者に対して調査しています。対象患者さんを無作為に二つのグループに分けています。
一つは水中療法群いわゆるプールでのトレーニングです。
もう一つのグループはコントロール群として何も行わないグループです

週2回、6週間の水中運動を行い痛み、身体的機能、身体活動レベル、生活の質、そして筋力にて効果判定をしております。

結果:水中療法群は痛み・関節の硬さが減少し、身体機能は向上、生活の質・筋力も上がってます。プログラムを完遂できた対象者の実に75%に、痛みや機能の改善が認められました。
コントロール群は17%しか改善が認められませんでした。

水中エクササイズの内容は、専門の理学療法士が患者さんに合わせたプログラムを作って行いました。

週2回のプロが管理したプールでのトレーニングは、股関節、膝関節症に効果的のようです。確かにプールの中では浮力があるので、関節への負担(体重)が減ります。痛いからといって何もしないと筋力が落ちてしまいます。関節に負担がかからないプール以外のトレーニングもあります。ぜひ理学療法士に相談してみてください。

(1) Aquatic Physical Therapy for Hip and Knee Osteoarthritis: Results of a Single-Blind Randomized Controlled Trial

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17142642

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