夜寝ていて肩の痛みに悩んでいる人へ
夜寝ていて肩の痛みがある人の肩関節の中には「関節水腫(腫れ)」がある場合があります。
※関節水腫…関節内には関節液が少量存在しているが、それが様々な原因で過剰に溜まってしまったもの。炎症により生じた組織液が殆どで、通常の関節液と成分は異なる。
整形外科には「肩が痛い」と来院される方が多くいます。
そういう方は肩を動かす(洋服を着る時、エプロンや下着をつける時)と肩が痛い、就寝中に肩が痛くて目が覚めるなどと訴えられます。
特に「肩の痛みで夜も眠れない」という症状(夜間痛)は非常に辛いと思います。そのような場合は、 MRI 検査で関節内の炎症の有無、腱が傷んでないか?を確認します。 夜間痛がひどい場合は、痛み止め注射や鎮痛薬の処方を整形外科の医師が行なうこともあります。
今回は、なんと当院理学療法士 武田大輝先生がまとめた「肩の痛みと夜間痛との関連」についての 論文(1)を紹介していきます♫
(102 例に11項目を調査!大変な労力です。。お疲れ様でした^^)
《対象》
・肩が痛くて MRI 検査を行った102名
・男性 47名、女性 55名
・平均年齢 61.8歳
※今回は、石灰沈着性腱板炎や骨折は対象外
※石灰沈着性腱板炎…肩の腱の中に石灰が溜まる病気
《調査項目》
①年齢や性別
②外傷の有無(転ぶ、ぶつけるなど)
③罹患期間( 痛みが出てからの日数)
④初診来院時の関節の動き(肩がどの程度上がるかどうか角度計を使って確認)
⑤MRI →腱板断裂の有無(肩の腱が傷んでないかどうか)
⑥MRI→関節水腫の有無(関節の中に水が溜まってないか)
⑦上腕二頭筋長頭腱炎の有無(上腕二頭筋腱…力こぶを作る筋肉。肩関節の中に入り込んでいるので、肩が痛いと炎症している場合がある)
⑧レントゲン→関節の変形を確認
* 合計11項目です。
《結果》
夜間痛と関連した項目➡️『関節水腫』でした!
関節の中に炎症などが起こり、水が多くたまっている状態→→夜間痛がおこりやすい!ということがわかりました。
《まとめ》
夜間痛がある時は、炎症を止めるような薬や鎮痛薬の内服、痛み止めの注射などを用い、夜寝られるように治療していくことが重要だと思います。
リハビリだけで何とかしようとすると、痛みを悪化させてしまうこともあります(T_T)
夜間痛がある場合は整形外科できちんと検査をして、肩の中の状態を確認してから治療を進めていくことが大切です。
リハビリは、夜間痛や痛みの軽減を確認しながら徐々に行っていきます。
肩の痛みで辛い思いをしている方は、整形外科の先生に相談してみてくださいね(^_^)
引用
(1)武田大輝ら. “肩関節疾患における夜間痛の関連因子: 腱板断裂の有無に着目して.” 臨床整形外科 54.10 (2019): 1031-1035.
西川整形外科ホームページ: http://www.naoso.com/