コルセットをしても腰や背中の筋力は落ちないという論文がありました^^

思春期側弯症の治療でつける装具で筋力は落ちないようです^^

こんにちは、西川整形外科の理学療法士の杉浦史郎です。最近当院でまた卓球が盛り上がっています^^一番ラケット握ってます^^

皆さん、「側弯症(そくわんしょう)」ってご存じですか?これは背骨が横に曲がってしまう状態のことで、特に思春期の女の子に多いんです。

そして、その治療でよく使われるのが「硬性装具」という、背中を支えるコルセットです。でも、これをつけると「背中の筋肉が弱くなるんじゃないの?」なんて不安を感じている方も多いと思います。当院では発育期腰椎分離症(腰の疲労骨折)の方が、腰部だけの硬性コルセットをつけます。我々のデータでは3か月程度の硬性コルセットの後の背筋の筋肉の断面積は変わりありませんでした、すなわち硬性コルセットを使用しても筋肉は小さくならない結果でした。しかし実際の背筋の筋力や持久力はみていないのでどうかな?って思っていましたが、病名は違いますが側弯症で硬性装具後の筋力をチェックした研究がありましたのでご紹介します^^


「装具を6か月つけたら筋力や持久力はどうなるのか?」を調べてみた

この研究では、側弯症の7歳から16歳の61人の女の子を対象に、次の2つのグループに分けて比較しました。

  • 装具を6か月間つけたグループ
  • 装具なしで過ごしたグループ

年齢や体型、背骨のカーブの具合(Cobb角って言います)などが似ている子たちを選んで、公平に調べたんです。


具体的にどうやって調べたの?

筋力や持久力を測るために、いろんなテストをしました。

  • 例えば「うつ伏せ」で背中を持ち上げるテスト(改良版Biering-Sorensenテスト)とか、
  • 「立った状態」でどれだけ背中の筋肉を使えるかを測るテストとか。

さらに、「1日何時間くらい装具をつけていたのか」も記録して、細かくデータを集めたんです。


結果はどうだった?

結果、こんなことが分かりました。

  • 装具を6か月つけても、背中の筋力や持久力にはほとんど影響がない!
  • 装具を長くつけた子も、つけてない子と筋力の差はなかった!

つまり、「装具をつけたら筋肉が弱くなるかも…」という心配は必要なさそうだ、という結論です。


装具は敵じゃない。優秀な仲間!

側弯症の場合、装具治療は、背骨の曲がりを進行させないためにすごく大事な役割を果たします。でも、それを理由に「筋力が落ちちゃうかも…」と装具を敬遠してしまう患者さんもいると思います(装具療法は側弯症治療なので整形外科の医師の先生の指示に従ってくださいね)。

今回の研究で分かったのは、「装具は筋肉に悪影響を与えない」ということでした。これは当院でも使用している硬性コルセットにも当てはまるのではないかと思っています。

もしお子さんやご自身が側弯症で装具治療をしているなら、「筋力が落ちるんじゃないか?」と心配しすぎず、治療に専念してもらえればと思います。そして何より、体の不調や心配事は、専門の先生に相談してください。
発育期腰椎分離症でも実際の背筋力が落ちるかなどの報告があればまたご紹介します。でも今回の結果は、病気は違えど一つ我々にとってもポジティブな結果で安心しました^^

参考文献

Pikulska et al. Back muscle function in adolescent girls treated with a rigid brace for idiopathic scoliosis: no impact of 6-month brace wear on muscle strength or endurance
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34190081/

 

 

ダッシュも発育期腰椎分離症の原因になる?!

こんにちは、西川整形外科の杉浦史郎です^^今日は勢いがあり2本目の投稿です!

今日は、「ダッシュ(全力疾走)」が発育期腰椎分離症(腰の疲労骨折)にどう関わるのか――そんな、スポーツを頑張る人には見逃せないお話をしていきます。

腰椎分離症というと、よく知られている原因は野球のピッチングやサッカーのシュート、バレーボールのスパイクなど。でも最近、「陸上競技選手にも多いんだけど、ダッシュも原因になってるんじゃない?」という視点が注目されているんです。

そして今回、その疑問にズバッと切り込んだ研究が発表されました!実は、今回の論文の著者 後藤先生(徳島文理大学)は学会や研究会でいつも会うお友達です!!


ダッシュって、そんなに腰に負担かかるの?

この研究では、サッカー選手17名を対象にダッシュやジョグ、シュート、パスといった動作を3Dで徹底解析しました。「何となく腰に悪そう」じゃなくて、データをとって集めたわけです。

結果、これが面白いんです^^

ダッシュのときの股関節の伸展角度や背骨(脊柱)の回旋角度、股関節への力のかかり方(屈曲モーメント)が、なんとシュート動作と似ていることが判明!

つまり、シュートが腰に負担をかけるなら、ダッシュも同じくらいヤバいんじゃないの?という話になってきたんです。


じゃあ、どうしましょう?

この発見がどれくらい大事かというと、「スポーツを頑張る人の未来のリスクを減らせるかもしれない」くらい重要です。だって、ダッシュが原因なら、陸上競技や他の全力疾走を含むスポーツをする人たちもリスクが高いことになりますよね。サッカー選手だってシュート練習はするけどほとんどダッシュしてますし。

でも、心配するだけじゃなくて、対策もちゃんと考えられます!例えば:

  • 腰への負担を減らすフォームの改善
  • 股関節や体幹の柔軟性や鍛えるトレーニング
  • 無理しすぎない練習スケジュールを組む

こんなふうに工夫すれば、ダッシュを続けながらも腰椎分離症のリスクを下げられるはずです。あとは練習時間やスプリントの練習時間もある程度制限できればとてもいいと思います。


スポーツ選手の未来を守るために

この研究で重要なのは、野球ですとピッチングやバッティング、サッカーですとキック動作が腰に負担と考えられていましたが、スポーツに共通する「ダッシュ」も腰に負担がかかるということです。スポーツ選手みんなに腰痛のリスクがある状態です。

ぜひリハビリテーションで腰に負担がかからない「走り」を獲得してください!!

**過去にも後藤先生の同じ論文で記事を書いています。今日勉強していて改めて重要と思い再度記事にしました^^

 

参考文献

Dash-Associated Spondylolysis Hypothesis

Tsuyoshi Goto1), Toshinori Sakai2), Kosuke Sugiura2), Hiroaki Manabe2), Masatoshi Morimoto2), Fumitake Tezuka2), Kazuta Yamashita2), Yoichiro Takata2), Takashi Chikawa2), Shinsuke Katoh1) and Koichi Sairyo2)

1) Department of Rehabilitation, Tokushima University Hospital, Tokushima, Japan
2) Department of Orthopedics, Institute of Biomedical Sciences, Tokushima University Graduate School, Tokushima, Japan

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6690085/ **オープンアクセスなので論文をフルテキストで見れます!!

オスグッド病にもエコー⭐️

理学療法士の悩みの一つは、調子が良くなってリハビリが卒業となった患者さんに、『またお待ちしてます!』って言えないことです。。。                            #患者さんの卒業は嬉しいけど、寂しい                            #もしもまた病院で会うときは患者さんは不調があるときですものね

今日は、オスグッド病についてのお話です。オスグッド病は成長期のスポーツをしている少年、少女に起こる膝の障害です。昔スポーツをしていてオスグッド病になりお皿の下あたりの骨が膨らんでいる大人の方もいると思います。

太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が骨につくところで引っ張ってしまい炎症したり、成長期のまだ弱い骨をはがしてしまい痛みが出ます。初めは、運動の時だけ違和感や痛みが出るのでなんとかスポーツを続けられますが、そのうちひどくなり歩いたりしゃがめなくなり病院に来る方が多いです。

オスグッド病が起こる場所は体からわかりやすいところ(膝の写真を参照)なので、痛い部位とレントゲン検査で比較的簡単に診断がつきます。しかし、痛みがひどい場合はMRIをとって骨がどの程度炎症しているのかも確認する場合もあります。

 

今回は、エコー検査でオスグッド病の状態がある程度わかりますよって論文があったので紹介します。#産婦人科でお腹の赤ちゃんをみるあのエコーです

 

対象は、35名のオスグッド病患者さん(男の子25名、女の子10名 11〜14歳)そして35名の膝の痛くない子(9−15歳)です。オスグッド病患者さんの膝と膝の痛くない子の膝をエコーで確認しました。

結果ですがオスグッド病患者さんは写真に示したような3つの状態に分けられました。

写真の2→3→4になるにつれて重症度が増しています。*写真1は膝の痛くない方(正常)          写真2の方は、26%、写真3の方は43%、写真4のような状態の方は、31%くらいいたそうです。

僕たちも現場にいると、患者さんは軽度な方から我慢して重症化した方まで様々です。当たり前ですが、重症化した子の方が、痛いし治りが遅いのでスポーツ復帰が遅れます。オスグッド病は早めに対応して早い段階で適切に治療を開始すれば重症化しなくて済みます。ただ、膝が少し痛くてもなんとかスポーツができてしまうところが厄介なところです。

今回の報告から、オスグッドにも色々なタイプがあり、エコーである程度判断可能です。重症化するとスポーツ復帰まで時間がかかって大切な大会に間に合わない事態にもなりえます。早めの対応、治療が大切です。

当院のリハビリ室にもエコーがあります。膝が痛いスポーツをしている子達の膝をエコーで観て医師の方と相談して治療を進めています。#エコーは患部の状況を把握できるので重宝しています

 

最後にまとめると…最初は痛いのを我慢できるオスグッド病ですが、我慢のしすぎは禁物です。

 

以上、西川整形外科のリハ室からでした。

引用

A Blankstein et al.,Ultrasonography as a diagnostic modality in Osgood-Schlatter disease. A clinical study and review of the literature

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11599758/

西川整形外科ホームページ: http://www.naoso.com/

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