おじぎで腰が痛いときの対処法(改訂版)

野球肩(投球動作により発症した肩痛を主とする肩関節傷害の総称)の少年に、「今は投げちゃダメだよ。」と伝えましたが、数日後に「ドッチボールだから投げちゃった^_^」と言われ、……確かにそこまでは伝えてなかった=_=と反省しています。。
#そうきたか
#ドッチボールもだめだよ

さて、「腰痛」には様々な種類があります。
例えば…椎間板を痛めた、関節を痛めた、筋肉を痛めた等々。
また、腰の動き1つとっても…おじぎすると痛い、反ると痛い、回すと痛い等々。

この「腰を動かすと痛みが出る」という方の中で、「おじぎ」をすると腰痛が出る方は比較的多いのではないでしょうか?

今回はこの「おじぎ」と「腰痛」の関係、メカニズムと対処法について紹介していきたいと思います♫

《腰のどの部分に負担がかかっているか?》
おじぎの時に負担がかかる部分は「椎間板」と言われています(1)。
下の写真をみてもらうとよくわかります。
真っ直ぐの状態から腰を曲げると、椎間板に負担がかかります。そうした負荷がかることで腰痛が起こると言われています。

腰の骨と骨の間のオレンジの部分が椎間板です *真っすぐの姿勢で腰を横から見てます
腰を曲げる(おじぎをすると)と椎間板にストレスがかかる

《対処法:リハビリ》
ズバリ!「おじぎの時に椎間板に負担がかからない身体を作ること!!」です(^_^)
腰を曲げないですめば1番いいのですが、日常生活を送るうえで「腰を曲げない」というのはそもそも無理な相談です。腰を動かせるように!と腰の柔軟体操をすると余計腰に負担がかかります(T_T)
では、どの関節を動かせばいいのでしょうか??

それは『股関節』です。
下の写真を見てください。ももの裏の筋肉が硬い状態と柔らかい状態の股関節の写真です。

ももの筋肉が硬い場合
ももの裏の筋肉が柔らかい場合

柔らかい股関節の方が腰が曲がっているように見えません?写真を回転するとわかりやすいのでしょうか。

写真を回転させておじぎ状態です。股関節が曲がると腰が曲がらないですみます

 

 

 

 

 

 

 

 

そうなんです股関節が動くと腰が曲がらなくていいんです。
股関節が動けば(柔らかければ)、腰を曲げなくてもおじぎができるようになります。

 

ではこの股関節の筋肉を伸ばすストレッチはこんな感じです。(下の写真)

ももの裏のストレッチ
椅子に座っておじぎをすると矢印のところのももの裏の筋肉が伸ばされます。30秒を3回、痛みのない範囲で行ってくださいね

おじぎで腰痛出る方は、このストレッチをしてももの筋肉をやわらくして腰に負担がかからにようにしてください。是非試してみてくださいね♫

引用

Koichi Sairyo et al., State-of-the-art management of low back pain in athletes: Instructional lecture

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26850924/

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ちょっと待って!! その腕、ストレッチをやる前に………

今回は、当院でオススメしている「ストレッチ」を紹介したいと思います♫

様々なケースに応用できるので、是非この機会に!

ストレッチ法は、それこそ筋肉の数ほどストレッチの方法があります。
なぜそのストレッチをやるのか?どういう順番で行った方がいいのか? の説明を知る機会は少ないと思います。
リハビリの際に理学療法士から、何故ストレッチをした方がいいのか?の説明がなければ、ただただ形だけのモノ(ストレッチ)になっているかもしれないですよね(+_+)
そこで今回は、日頃行って欲しい「腕のストレッチ」(図1を参照) 、を行う前にやってみてほしい『準備段階のストレッチ』を紹介したいと思います♫

図1 よく運動前に行う左腕のストレッチ

 

図1のようなストレッチを行う方は多いと思います。例えば野球やテニスのような、腕を使うスポーツの前によく行われます。
このストレッチの目的は、➡️「腕をよく回せるように」です。「腕をよく回すためには」を掘り下げると➡️「腕はどうして動くのか?」となります。

 

結論→腕は単独で動くのではなく、その前に背骨が回ったり、肩甲骨が動いたりして、その結果「腕が回る」。
でんでん太鼓を想像してみてくださいね^_^(図2)

図2

でんでん太鼓は音を出すために、紐についた玉が太鼓の面に当たらないといけません。ただ紐が勝手に動くわけではないですよね?
[持ち手の部分が回る→紐が動く→その先の玉が太鼓の表面(鼓面)に当たる→音が出る!]
ここでのポイントは「勝手に紐が動かない!」ということです。動力源はでんでん太鼓の支柱(持ち手)が回る、ということです。

このでんでん太鼓を人間の体に当てはめると、
・紐=腕
・支柱(持ち手)=背骨
でんでん太鼓理論で考えると、腕が勝手に動くことはないですね。まず背骨が回り、その結果腕が動くわけです。。

もう分かっていただけましたか?
腕だけをストレッチしても効率が悪いのです(TT)
動作の順番を考えると、①背骨・肩甲骨→②腕の順でストレッチをした方が理にかなっています!

それでは皆さん、ここからは実際にご自身の身体で体感してみて下さいね♫
ストレッチの良いところは「改善したことを実感できること」だと思います。 それが実感できないと、ストレッチを継続するのは難しいですよね。
しっかり継続していく為にも、ストレッチ前に今回紹介する「テスト」で「張りcheck!」をオススメします(^_^)

《腕の張り:確認テスト》
このテストは腕のストレッチと全く一緒です。
腕を内側に倒していく際に少しでも伸びたところを確認してください。
✻注意❊
・通常のストレッチのようにぎゅーっと伸ばしてしまうと、右腕と左腕がどちらが張っているのかの確認ができない。
・腕の筋肉が少しでも伸びたところを確認。
・この時、左右どちらの腕が突っ張るタイミングが早いかどうかも確認。図3

図3 右腕の方が突っ張るとのことです

それではテストが終わった方は、
『背骨のストレッチ』を始めていきましよう♫

①図のように横向きで寝て、手を頭の後ろに当てる、
②そこからゆっくりと腕を天井に向けるように開いていく。
✻腕を開くと言うより、背骨を回すイメージです。でんでん太鼓の支柱を回すように動かしてみてください。
③これを逆側も行う。左右10回ずつ行う。(図4)

 

図4 腕ではなくて背骨を意識して回すことがポイントです

①〜③のストレッチ後に、先ほどの「腕の張り確認テスト」をしてみてください。
うまくストレッチ出来た方は、腕のつっぱりが減っているのがわかると思います♪

当院でもよく紹介するこのストレッチは、多くの方に「腕のつっぱり軽減」を体感していただけます。そして「腕をストレッチしてないのに、なんで腕が楽になるの? 」と驚かれます。その理由は、先の「でんでん太鼓理論」で考えると「背骨や肩甲骨の柔軟性が向上した」ですね(^_^)図4

どうしても腕や肩、股関節のように、動きが多い部分をストレッチ、柔軟体操してしまうのは分かります。
しかし、体の動きには「つながり」があります。その「つながり」を考慮しながら、腕や足のストレッチをすることがとても大切になります。
仮に腕だけストレッチをして、背骨や肩甲骨が動かない(硬い)状態で運動すると、かえって腕に負担かかってしまうことも考えられます。
柔軟体操は運動前後によく行われますが、理にかなった体操だと思います。しかしスポーツの現場でもまず背骨のストレッチ(今回紹介したような)を皆で行う、というのはまだ浸透していないのが現状です。

スポーツ現場では練習時間が限られているので、自宅で今回紹介した背骨のストレッチを行い、練習に参加すると効率的だと思います^^

『腕だけでなく、背骨のストレッチも!』
皆様には「もう1つレベルを上げたストレッチ」の実践をオススメしたいです(^_^)

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番外編 「脊椎脊髄ジャーナル」に論文が掲載されました。ありがとうございました。

皆様こんにちは。いつもブログを見ていただきありがとうございます。今回は番外編としてお知らせさせていただきます。脊椎脊髄ジャーナルという雑誌があるのですが今月号に僕の論文が掲載されました。 タイトルは「小児アスリートの腰椎分離症の保存療法」です。

保存療法とは専門用語になりますが手術をしない治療のことをいいます。例えば痛みが出てる時に痛み止めを出すような薬物療法も保存療法となります。僕の専門の理学療法(リハビリテーション)ももちろん保存療法になります。そのため今回のタイトルをやわらかく説明すると 「小児のアスリートの腰椎分離症のリハビリテーション」 となります。このタイトルだと少し手触り感が出ると思います。このブログでもよくご紹介しております「腰椎分離症」に対してのリハビリテーションをまとめた論文となっております。今回は小児期ということで小学生までの腰椎分離症に的を絞ったリハビリテーションを紹介しています。 ご興味のある方はご一読いただけると嬉しいです。

このような名誉ある雑誌で「腰椎分離症のリハビリテーション」を紹介できるのはありがたく大変恐縮しております。最後に東千葉メディカルセンター整形外科部長の青木保親先生、千葉大学整形外科教授の大鳥精司先生、当院副院長の岡本 弦先生、日々の診療以外で研究活動を一緒にしてくれている当院のスタッフ、そしていつも原稿を隅から隅まで丁寧にご教授くださる院長の西川 悟先生に深謝いたします。次も新しい知見を発表できるように鋭意努力いたいます。

 

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体の硬い人は「ジャックナイフストレッチ」をぜひお試しください

▷体が硬い方はおおいです

整形外科に行ってリハビリを行うと「体が硬いですね」と 言われる方は多いと思います。特にももの裏の筋肉 (ハムストリングス)という筋肉が硬い方が多いです。この筋肉が腰痛の原因ともなるといわれておりハムストリングスの柔軟性を上げることは腰痛予防につながるといわれています。

▷いざ柔軟体操をはじめても挫折した経験ありませんか?

これまで柔軟体操を行ったことのある方は経験があると思いますが、とにもかくにも習慣化できず「三日坊主」になる場合が多いです。挫折してしまう一番の理由はストレッチの効果がすぐに自覚できないからかもしれません。#リハビリはストレッチに限らず根気が必要です。。。

▷1ヶ月頑張れば効果が出るストレッチ方法を紹介します  

その名は「ジャックナイフストレッチ」徳島大学の西良教授が論文(1)で発表されたストレッチです。今回は、通常のストレッチとは違う「ジャックナイフストレッチ」というものを行って効果が出ましたよ、という論文です。

▷「ジャックナイフストレッチ」の研究のご紹介

対象者は8人の健常人の方で、平均年齢は26.8歳です。この方々に2つのテストを行いました。

  1. ①立って膝を伸ばした状態で、体をお辞儀して手が床につきますか?というテスト
  2. ②骨盤の動きが改善したか確認するテスト

図の出典 Sairyo et al., Jack-knife stretching promotes flexibility of tight hamstrings after 4 weeks: a pilot study. Eur J Orthop Surg Traumatol (2013) 23:657–663

▷「ジャックナイフストレッチ」のやり方

ジャックナイフストレッチの方法は図のように行います。しゃがんだ状態から両足首を持って、ももと胸をつけてながらお尻をあげていきます。この時にももの裏のハムストリングスが徐々に伸びていくのを感じます。ストレッチの時間と回数は5秒間を5回繰り返し毎日行います。#痛みのない範囲でやってください#ももと胸が離れないようにしながらお尻を上げていくことがポイント

図の出典 Sairyo et al., Jack-knife stretching promotes flexibility of tight hamstrings after 4 weeks: a pilot study. Eur J Orthop Surg Traumatol (2013) 23:657–663

▷「ジャックナイフストレッチ」開始から4週間後どうなったか?

結果ですが、「ジャックナイフストレッチ」開始前の①のテストで体をお辞儀したときに指先と床までの距離は14 cm ぐらい#結構硬い状態 4週後はなんと床下8cmになりかなりハムストリングスが伸びるようになりました。また②のテストの骨盤動きも改善したそうです。#ハムストリングスだけではなく骨盤の動きも改善!

▷当院でも「ジャックナイフストレッチ」を紹介しています

非常に手軽にでき効果的なストレッチなので当院でも紹介しています。初めての方が急にジャックナイフストレッチを行う時は、頭に血が上ってしまうこともあるので、無理のない範囲で行ってください。

▷ちょっとだけ専門的な話をします:「ジャックナイフストレッチ」なぜ効果的なのか?

ストレッチをしたことがある方は経験あると思いますが、ストレッチをすると筋肉はゴムのように伸びます。通常のストレッチはこのように筋肉をゴム伸ばすように行います。これが通常のストレッチパターンと思ってください。

▷筋肉にはもう一つ伸びるパターンがあります

例えば、「二の腕の力こぶ」を思い浮かべてください。肘を曲げると力こぶが出てきます。この時の力こぶの筋肉は縮んでいる状態です。しかし力こぶの逆側の筋肉は伸びている状態です。逆側が伸びてくれるから力こぶが出ます。このように、筋肉は片方が縮むと逆側が伸びる性質があります。この性質を利用したのがジャックナイフストレッチです。

▷ハムストリングスは、膝を曲げる筋肉です。

このもう一つの筋肉が伸びるパターンで「ジャックナイフストレッチ」のメカニズムを説明しますと、「ジャックナイフストレッチ」は膝を伸ばそう伸ばそうとして膝の前の筋肉が縮んでいきます。膝の前の筋肉がいわば「二の腕の力こぶ」の状態です そうしますと逆側のハムストリングスはより伸びよう伸びようとします。#そうですこれがハムストリングスが伸びる理由です ただゴムを伸ばすようなストレッチと比較してジャックナイフストレッチは脳からの指令が加わります。#脳からの指令により筋肉全体が伸びようします#これがジャックナイフがより効果的な理由

筋肉トレーニングもただ筋肉を鍛えるより、その筋肉を意識したほうが効果があるとも言われています。ストレッチも脳から指令がいく「ジャックナイフストレッチ」を試してみてください。#ジャックナイフストレッチをした後、すぐに柔らかくなります#ジャックナイフストレッチの前後で①のテストをしてみてください、びっくりすると思います

実は、このジャックナイフストレッチについて当院理学療法士の石崎 亨先生が調査してくれて論文を現在作成中です。無事に刊行されたらすぐにご紹介しますね。

引用文献

(1)Sairyo et al., Jack-knife stretching promotes flexibility of tight hamstrings after 4 weeks: a pilot study. Eur J Orthop Surg Traumatol (2013) 23:657–663

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