『疲労骨折』はなぜ起こるの?

目次

疲労骨折とは…

普通の骨折は、一度の外力(外から加わる力)により骨が折れてしまうことです。対して「疲労骨折」は、骨の同じ部分に何度も外力が繰り返しかかることで、骨の疲労現象を来して起こると言われています(1)。
針金を繰り返し曲げ伸ばししていると、だんだんストレスがかかっているところが熱くなり終いに折れてしまうのと似ています。
日常生活ではそれほど集中して骨にストレスがかかることはありませんが、スポーツ選手は同じ動作を繰り返すことで骨に負担がかかり、疲労骨折を起こしてしまう方も少なくありません。

スポーツ活動の増加や低年齢化により、疲労骨折の頻度に増加傾向がみられ、発生部位も多様化しているそうです>.<

どこに起こりやすい??

・手足の骨
・骨盤
・腰椎(腰の骨)
・肋骨など

疲労骨折というと足の骨に起こることが多いと思われていましたが、最近では画像診断の進歩(MRI)により、腰椎疲労骨折の頻度が高いとの報告もあります(2)。成長期の子どもの腰痛は、疲労骨折の可能性もあります。

症状

・疲労骨折が起こっている部分の圧痛(押すと痛いこと)
・運動すると痛い
・すねや足の骨など皮膚から骨までの距離が近い場合…熱感(疲労骨折した部分が熱をもって熱くなる)や腫れが出る
・足の疲労骨折…痛い側の足で飛んでもらう(ホップテスト)と疲労骨折の痛みを再現できる(3)。
・腰…腰の骨を叩くと痛かったり、反ると痛みが出る(4)。

診断はレントゲン?MRI?CT?

疲労骨折が起こってすぐだとレントゲンでわからない場合が多いようです(5)。症状が出てから2~6週の時期にレントゲンでわかるので、初期の段階で見つけるのは困難です。
それに比べMRI検査は、疲労骨折の初期段階から診断可(1)。CTは、初期段階の診断は難しいが、骨折部位を判断するのに有効とのことです(6)。

治療

『患部の安静』が必要です。
しかし患者さんの多くがスポーツ選手のため、ただ休んでいるだけだと体力・筋力低下が起きてしまいます。そのため疲労骨折部以外のトレーニングが重要です。場合により治るまで数ヶ月かかることもあるので、その間のリハビリテーションをしっかり頑張りましょう!!

(1)Mink. J.H., et al. : Occult cartilage and bone injuries of the knee. Radiology. 170 : 823-829. 1989
(2)能見修也ほか:スポーツにおける疲労骨折の実態. 日本臨床スポーツ医学会誌. 19: 43-49. 2011
(3)Matheson, G.O., et al : Stress fracture in athletes-A study of 320 cases. Am J Sports Med. 15 : 46-58. 1987.
(4)西良浩一ほか., 脊椎の疲労骨折ー腰椎分離症ー. 臨床スポーツ医学. 27 : 411-421. 2010.
(5)Chisin, R., et al. : Clinical significance of nonforcal scintigraphic findings in suspected tibial stress fractures. Cli Orhtop. 220 :220 : 200-205. 1987.
石橋恭之ほか : 疲労骨折の臨床像と画像診断. Orthopaedics. Vol 25. No. 13 1-8 2012.

にほんブログ村 病気ブログ チーム医療・専門医療職へ

ブログランキング・にほんブログ村へ
PVアクセスランキング にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です