腰椎疲労骨折は『再発』しますか?

答え:再発するときがあります(TT)

『腰椎の疲労骨折』はスポーツをしている学生がなりやすい病気です。MRIで確定診断をしてもらい、治療は数ヶ月間の装具療法(プラスチック製の硬いコルセット)を行います。その間、スポーツや体育も中止するため、体力低下が起こります。

これまでの報告では運動を長期間休むと、最大酸素摂取量(全身持久力の指標)、筋力そしてパフォーマンスが低下すると言われています(1,2,3)。学生時代に部活を引退してから数ヶ月後の体育祭で、体力低下を経験した方も多いのではないでしょうか?

1週間程度の休みならまだしも、数ヶ月間に及ぶ休みはスポーツ選手にとっては致命的です。なるべく体力低下を防ぎたいところですが、疲労骨折も治さないといけません。『骨の治療とスポーツ復帰』は相反するゴールなので、ここが腰の疲労骨折を治療していく上で難しい点になります。

また、しっかり治しても再発することがあります。これまで再発に関して報告は少なかったのですが、2017年の酒井先生の論文で「再発率は26.1%!」と報告されました(4)。4人に1人が再発….僕は、この数字を見て驚愕したのを覚えています。

せっかく休んで治療して治ったと思ったら再発(TT)本人、家族はガックリされると思います。
再発についての原因はまだはっきりしていませんが、我々はこの再発率を少しでも下げることを目標に日々、腰の疲労骨折のリハビリテーションに取り組んでいます。

少しでも再発を防ぐために、筋肉の柔軟性の向上や体力をなるべく低下させないことが必要と言われています。
腰の疲労骨折治療の2〜3ヶ月間を「柔軟性をあげるリハビリテーションを行えるまたとない機会!」(発想の転換です♫)と説明して、患者さんのモチベーションをあげていきたいです(^_^)

(1)Martin WH Ⅲ, et al.Effects of physical deconditioning after intense endurance training on left ventricular dimensions and stroke volume

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2937829/

(2) Houston ME, et al. Interrelationships between skeletal muscle adaptations and performance as studied by detraining and retraining

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/420018/

(3)Hortobagyi, et al.The effects of detraining on power athletes

https://insights.ovid.com/medicine-science-sports-exercise/mespex/1993/08/000/effects-detraining-power-athletes/8/00005768

(4)Sakai et al., Conservative Treatment for Bony Healing in Pediatric Lumbar Spondylolysis. SPINE Volume 42, Number 12, pp E716–E720

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27755499/

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