〇〇〇〇ストレッチで腰痛を治す

答え:slump (スランプ)ストレッチ

ももの裏の筋肉(ハムストリングス)が硬い場合、腰痛を起こしやすいと言われています。この筋肉を伸ばすストレッチをしている方も多いと思います。今回は、ちょっと変わったストレッチ方法で腰痛が改善する??という報告があったのでご紹介します。その名はslump (スランプ)ストレッチというものです。

《対象》
・慢性腰痛患者(3ヶ月以上)…515名(論文12本中)

《方法》
・”slump (スランプ)ストレッチ”

slumpストレッチのやり方
・椅子に座って背中を丸めて膝を伸ばす。
・膝を伸ばすときには足を90度に保つ。
数多くの論文で調査しているので方法はいろいろありますが、いい動画あったので参照してみてください。https://www.youtube.com/watch?v=BjYUkAwpRsY

出典:https://www.youtube.com/watch?v=BjYUkAwpRsY

*このslump (スランプ)ストレッチですが実は、slumpテストと行って、坐骨神経痛をテストするものです。これを治療のためにストレッチとして応用しています。そのため、坐骨神経を伸ばしますので、坐骨神経痛がひどい方はやめてください。あくまでも今回は腰痛に対してのみ、行ってください。

《評価》
腰痛の程度や、腰痛による日常生活に及ぼす影響などを確認する。

《結果》
・腰痛もそれによる日常生活活動能力も改善した。

※ハムストリングスを伸ばすだけでも効果的。
※slump (スランプ)ストレッチは、背中も含めてストレッチできるのでより効果も出るかも。

普段行っているストレッチに加えてみては?^^

引用

(1)Mohammadreza Pourahmadi et al. Effectiveness of Slump Stretching on Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-analysis

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30590849/

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1年以内に腰痛が起こりやすい体の特徴《その3》

➡➡ももの裏の筋肉が硬い

腰痛の生涯有病率は84%とも言われています。腰痛を経験した方もこれまで多くいると思います。そして、何度も腰痛を繰り返される方も少なくないと思います。
今回(シリーズ3)は、どのような体の状況だと腰痛が起こりやすいかを調査した論文(114本)から紹介します。

12ヶ月間で腰痛が起こった方々の、体の特徴を調査しています。

調査項目
・腰の柔軟性
・ももの筋肉の柔軟性
・腰周りの筋力
・腰の骨の状態など

結果
ももの裏の筋肉が硬い→腰痛が起こしやすい!

ももの裏の筋肉を「ハムストリングス」と言います。このハムストリングスは、お尻から腿の裏を走っていて、 肉離れが多い箇所としても有名です。この筋肉が硬いと、お辞儀をした時にももの裏が突っ張ったりします。よく体が硬いね、と言われる方でここの筋肉が硬いことが多いです。

以前から腰痛の方は「ハムストリングスが硬い」と言われていました。
なぜか?→ハムストリングスは骨盤についている→筋肉が硬い→骨盤の動きを制限→ 骨盤の動きが制限→腰椎(腰の骨)の動きも制限→腰をそることが難しくなる→腰痛を引き起こす(*_*)

腰の反りが少ないと腰痛を起こす可能性が高くなります《その1》。今回お伝えした《その1》から《その3》は、1つでは問題がなくても、何かしらの形で繋がっていて症状を引き起こす、ということです。

リハビリではこれらの要因を少なくする取り組みが必要です。ですが、この特徴1〜3を覚えてもらい、自分の体をセルフチェックして、腰痛が起こる前に早めに対処すること!!これが一番の腰痛予防になると思います(^_^)

引用

Sean G Sadler et al., Restriction in lateral bending range of motion, lumbar lordosis, and hamstring flexibility predicts the development of low back pain: a systematic review of prospective cohort studies

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5418732/

(2)Adams MA, Mannion AF, Dolan P. Personal risk factors for first-time low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1999;24(23):2497–505.

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1年以内に腰痛が起こりやすい体の特徴《その2》

1年以内に腰痛が起こりやすい体の特徴《その2》

➡➡腰の側屈(横まげ)が硬い

腰痛の生涯有病率は84%とも言われています。腰痛を経験した方も多くいると思います。そして、何度も腰痛を繰り返される方も少なくないと思います。

今回(シリーズ2回目)は、どのような体の状況だと腰痛が起こりやすいか、を論文(114本)調査した報告を紹介します。

それらの論文から12ヶ月間で腰痛が起こった方々の体の特徴を調査しています。

調査項目

・腰の柔軟性

・ももの筋肉の柔軟性

・腰周りの筋力

・腰の骨の状態など

結果

腰の側屈が固い→1年以内に腰痛→可能性:大!

腰の側屈とは……立った状態で、手を腿の外側につけて(起立の姿勢)、体を横に倒す。これが側屈です。

調査中(一年以内)に腰痛が起こった人は、この側屈の角度が硬かったとのことです。

《その1》で「腰の反りが少なくなると腰痛を起こしやすい」と紹介しました。

実はこの二つは共通点があって、腰の反りが少なくなったり側屈の角度が少なくなったりすると 、腰で受ける衝撃吸収能力が低下してしまうと言われています(2)。

ですから腰痛を起こしやすい特徴に、この2点が入っているのだと思います。

引用

(1)Sean G Sadler et al., Restriction in lateral bending range of motion, lumbar lordosis, and hamstring flexibility predicts the development of low back pain: a systematic review of prospective cohort studies

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5418732/

(2)Adams MA, Mannion AF, Dolan P. Personal risk factors for first-time low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1999;24(23):2497–505.

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1年以内に腰痛が起こりやすい体の特徴《その1》

➡➡《その1》立っている時の腰の反り→少ない

腰痛の生涯有病率は84%とも言われています。これまでに腰痛を経験した方も多くいると思います。そして、何度も腰痛を繰り返される方も少なくないと思います。

今回は〈シリーズ 3回〉で、どのような体の状況だと腰痛が起こりやすいか、論文(114本)調査した報告を紹介します。

それらの論文を用い、12ヶ月間で腰痛が起こった方々の体の特徴を調査しています。

調査項目

・腰の柔軟性

・ももの筋肉の柔軟性

・腰周りの筋力

・腰の骨の状態など

結果

立っている→腰の反りが少ない→腰痛を起こしやすい!!

腰の反りが少ないとは…… 背骨は首(頸椎)、胸(胸椎)、そして腰(腰椎)で構成されています。

体を横から見ると、頚椎は若干前に反っていて、胸椎は逆に後ろに膨らんでいて、腰椎は前に反っています。S 字状になっているのが背骨の特徴です。

この腰椎の反っている部分が逆に反りがなくなっている状態、ちょっと腰が曲がったような状態の場合に腰痛を起こしやすいとのことです。

腰の反りが減少してしまう原因として様々なことが考えられます。例えば、背筋力の低下、 椎間板障害により椎間板が潰れてしまうことで反りが少なくなることもあります。

このような状態になると、腰を反らす時の動きが硬く感じられます。そのような時は、腰痛を起こす可能性が高いと思いますので、必要に応じて専門家に相談したほうよいと思います。

次回は《その2》について報告します。

*その3まであります(^_^)

引用

Sean G Sadler et al., Restriction in lateral bending range of motion, lumbar lordosis, and hamstring flexibility predicts the development of low back pain: a systematic review of prospective cohort studies

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5418732/

 

 

 

 

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激しい運動は慢性腰痛に効果的?

答え:効果的かも 。。→でも…年齢・体調相応の運動量 (^_^;)で!!

これまで、ストレッチや筋トレ、中等度の有酸素運動は慢性腰痛に効果がある、といった報告はありましたが、高強度有酸素運動(息がきれるほどの激しい運動)は効果があるか?を調査したものはあまりありませんでした。

今回は、慢性腰痛の方に対して上記の効果を検証した報告を紹介します(1)。
しかし、調査対象者が20名で平均年齢が42歳という小規模調査なので、その点を考慮した上で参考にして貰えればと思います(^_^;)

対象20名を、運動グループ(平均42歳)と運動しないグループ(平均41.5歳)に無作為に分けて、運動グループには、12週間の高強度有酸素運動(息がきれるほどの激しい運動)を受けてもらった。

『高強度有酸素運動とは』
☆15分間のウォーミングアップを行う(手足を動かす運動とストレッチエクササイズ)
☆トレッドミルで最大心拍数の60%〜85%で週3回30分〜50分→12週間走る。結構大変*\0/*
☆最初の3週間は調整期間→徐々に心拍・走行時間増やしていく。
☆ランニング負荷(7〜8km/h)を行う

運動しないグループは、物理療法などを12週間行うのみ。

評価
①腰痛の強さ
②腰痛による日常生活の障害度
③精神的負担
④血清コルチゾール濃度(ストレス度を確認)

結果 :運動グループは①41%↘️ ②31%↘️ ③心理的緊張35%↘️。④には変化なし。

運動しないグループは①〜④全て変化なし。

これらのことから、定期的な激しい(?)運動は、慢性腰痛の①痛み ②日常生活の障害 ③心理的緊張を和らげてくれるようです。

運動して汗をかくと、爽快な気分になりますよね♫激しい運動でなくとも、ウォーキングなどの軽い運動でも腰痛改善に効果的なので、運動は是非続けてください(くれぐれも無理は禁物!)。

引用(1)

Dimitris Chatzitheodorou et.al. A pilot study of the effects of high-intensity aerobic exercise versus passive interventions on pain, disability, psychological strain, and serum cortisol concentrations in people with chronic low back pain

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17284546/

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〇〇は腰の椎間板にもよくない

答え:肥満

椎間板とは、背骨の骨と骨の間にあるクッションのことです。組織学的には線維軟骨と言われています。クッションの役割をするので、背骨にかかる衝撃を吸収してくれます。腰椎(腰の背骨)にも椎間板があります。

この椎間板を何らかの原因で痛めてしまうのが「椎間板変性」「椎間板障害」「椎間板ヘルニア」などです。椎間板には痛みを感知する神経がある(1)ので、痛めると腰痛が出ます。
椎間板ヘルニアは、椎間板が飛び出てしまう→飛び出た先に神経あり!→神経痛(例:坐骨神経痛)が出現する可能性(高)

今回は、その椎間板の障害と肥満は関係があるか?を調査した論文を紹介します。

椎間板障害 1749名と、椎間板障害なし 1885名を体重(今回はBody mass index (BMI))に注目して比較しています。

WHO(世界保健機関)の基準。Body mass index (BMI)*1を基準に体重を評価

BMI 18.5以下:痩せ型
BMI 18.5〜24.9以下:ノーマル
BMI 25〜29.9以下:過体重
BMI 30以上:肥満

椎間板の障害→腰椎の椎間板ヘルニアや、椎間板障害、椎間板の変性とする。

結論:過体重や肥満と椎間板障害は非常に高い関連性がある!とのことです。椎間板はクッションの役割をしているので、体重が多いと椎間板に負担がかかるのは当然ですね(^_^;)

私が担当している腰椎椎間板ヘルニアの方(BMI25以上)が、1年かけてダイエットした結果(BMI25未満に!)、腰痛や坐骨神経痛が改善していました。
過体重・肥満の方で椎間板障害による腰痛がある方は、ストレッチや筋トレと併せてダイエットも行うと、より効果的だと思います(^_^)

(1)http://pain-physio.net/椎間板には痛みを感じる神経がある?ない?/

(2) Xian Xu et.al Association Between Overweight or Obesity and Lumbar Disk Diseases: A Meta-Analysis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25500506

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肥満は腰痛に関わる?

答え:肥満と腰痛は関係あり!!

「肥満と内科的な病気には密接な関わりがあるけれど、腰痛との関わりは果たしてあるのか?」を調査した論文があったので紹介します(1)。
今回の論文は『メタ分析』といって、世に出ている論文をピックアップして解析しています。メタ分析は、論文の中の論文といえる科学的根拠が強いものです。

《結果》

WHO(世界保健機関)の基準。Body mass index (BMI)*1を基準に体重を評価

BMI 18.5以下:痩せ型
BMI 18.5〜24.9以下:ノーマル
BMI 25〜29.9以下:過体重
BMI 30以上:肥満

上記のBMI基準のうち「過体重と肥満は、腰痛と関係あり」との結果でした。過体重以上は腰痛と関わりがあるとの結果だったので、BMI 25以上の方は要注意ですね。
過去には、「男性に限り、肥満は腰痛と関係あり」「男女ともに過体重は腰痛に関わらない」との報告もありましたが、今回の論文は2018年に出たものなので、最近の知見といえます。現時点では『肥満と腰痛は関係あり』と考えていいと思います。

肥満と膝の痛みの関係は昔から言われていたことですが、肥満は腰痛にも関係があると知っていれば、腰痛予防につなげていけると思います。

*1 BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。健康を維持するためは日頃からBMIを把握することが重要です。

計算式はBMI 体重kg ÷ (身長m)2

引用:https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228732

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27875413

 

 

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骨粗しょう症って痛みが出るの?

答え 痛みがある患者さんもいます

日本で骨粗しょう症の患者さんは、女性 24%男性 5%で、推定患者数は1300万人に達すると言われています。

骨粗しょう症は、20〜40代と比べて骨が弱くなっている状態です。 症状は骨折、それに伴う痛みにより動作が鈍くなったりします。

骨粗しょう症の方が腰痛や背中の痛みを起こす割合は33%と言われています。 また、その痛みのために80%が日常生活に制限を感じていて、90%以上が日常生活に支障をきたしています(1)。

骨粗しょう症に伴う痛みは、骨折による痛みや骨折後に骨が変形して起こる痛みが原因と考えられてきました。しかし、最近の研究では骨粗しょう症自体が痛みを引き起こしているのではないか、と言う報告があります。これは、骨粗しょう症の方は骨折していなくても腰や背中に痛みを訴えることがある、ということです。

今まで骨の痛みは、骨の表面にある骨の膜(骨膜)が刺激されて痛みを起こすと考えられてきました(2)。しかし研究が進み、痛みを感じる神経が骨の中にも存在することがわかってきました(3).

骨粗しょう症になる→骨を壊す細胞が活性化→その細胞が産生する酸が増加して局所的に酸性になる→ 骨の中の感覚神経を興奮させて痛みが引き起こされる(4)と考えられます。

骨粗しょう症による腰痛の原因については、まだまだ不明な点が多いようです。

骨粗しょう症患者の中には、骨折をしていないのに痛みがある方や、骨粗しょう症薬を飲むと痛みが軽減する方もいるで、骨粗しょう症自体が痛みを出す可能性も大いに考えられます。今後ますます研究されていく分野だと思います!

食事や運動も骨の強さ回復に関わるので、薬に頼るだけではなく、運動や食事に気を配り骨粗しょう症予防をしていくことが大切です。女性(特に閉経後!)は男性と比較し、骨粗しょう症になりやすいのでお気をつけください>.<

引用

(1) 折茂 肇  診療所に通院する骨粗鬆症患者の服薬コンプライアンスと腰背部痛の現状
Osteopor osis jpn 15:351-358

(2) Bonica, J.J.: Management of pain Lea & Febiger, Philadelphia, 1953

(3) DB Mach, SD Rogers, MC Sabino,: Origins of skeletal pain: sensory and sympathetic innervation of the mouse femur. Neurosci. 113: 165-166, 2002

(4)S Ohtori, T Akazawa, Y Murata et al., Risedronate decreases bone resorption and improves low back pain in postmenopausal osteoporosis patients without vertebral fractures. Journal of Clinical Neuroscience Volume 17, Issue 2, February 2010, Pages 209-213

(1) Juichi Tonosu et al.The associations between magnetic resonance imaging findings and low back pain: A 10-year longitudinal analysis

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29141001

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◯◯◯ボールを慢性腰痛を治しましょう

答え 〈テニスボールにより腰周りマッサージ〉

慢性腰痛の方でお悩みの方も多いと思います。実際に整形外科に通院し、リハビリを行っている方も多くいます。しかし、病院へ毎日通院するのは難しく、いかに自宅でリハビリを継続できるかが腰痛改善のポイントといえます。
慢性腰痛の治療には、歩行(早歩き)、ストレッチ、コアトレなど様々な方法をこれまで紹介してきました。今回は、テニスボールを使って腰周りのマッサージをする方法を紹介します。実際に論文で効果も検証(1)されていますので、試してみる価値はあると思います。

対象は高齢者慢性腰痛患者15名です。研究ではシリコンボールを使っていますが、テニスボールを代用しても可能だと思います。

マッサージを行う筋肉は、大殿筋(お尻の筋肉)、中殿筋(股関節の横の筋肉)、腸腰筋(股関節の前の筋肉、そして腰方形筋(腰の筋肉)です。各筋肉に対して筋肉の痛むところを1分間テニスボールでマッサージをして、1分間休むというのを4セット行ってます。

大殿筋
仰向けで両膝を立てて、お尻の下にテニスボールを入れて行います。

中殿筋
女の子座りのような姿勢で、股関節を開いた側のお尻の横にテニスボールを入れて行います。

腸腰筋
うつぶせで少し股関節を開いた状態で、股関節下にテニスボールを入れて行います。

腰方形筋
仰向けで片方の膝を両手で抱えます。抱えた側の腰にテニスボールを入れて行います。

*マッサージの強さは、痛いけど気持ちのいい範囲で行ってください。

結果
マッサージを開始して1週間で腰痛への効果が現れ、6週間後には改善していたとのことです。さらに、背骨の関節や筋肉の柔軟性も改善したそうです。

今回の研究は、ボールでのマッサージを行ったグループでしか検討していませんので、他の治療(例えばストレッチや筋力トレーニング)と比較していません。ですから、今回のボールマッサージが他の治療よりも優れている、とは断言できません。
しかし、テニスボールは安価なので準備しやすく、マッサージ方法も自宅で簡単にできるので是非試してみて下さい。

(1)Effect of myofascial trigger point therapy with an inflatable ball in elderlies with chronic non-specific low back pain

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Effect+of+myofascial+trigger+point+therapy+with+an+inflatable+ball+in+elderlies+with+chronic+non-specific+low+back+pain

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3ヶ月以上続く腰痛には〇〇トレーニング

答え: コアトレーニング

(*患者さんのレベルに合わせて行うコアトレーニングが有効です)

外来腰痛患者15名に対して、コアトレーニング*1は有効かどうか?を調査した研究です(1)。腰痛の程度は、Visual Analog Scale*2(VAS)で4以上を対象としています。激痛ではなく、中等度の痛みを感じる患者さんです。慢性腰痛は「3ヶ月以上続く腰痛」と定義しています。整形外科に受診する患者さんで、3ヶ月以上症状が続く方は少なくありません。

コアトレーニングを図に示します。図の縦列に、仰向けから腕立てのような7つのポジションが記載されています。横列は、各トレーニングのレベルを示しています。右にいくにつれてトレーニングの強度が上がっていきます。

出典:The Effect of Lumbar Stabilization and Walking Exercises on Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31261549/

コアトレーニングの方法は、はじめにストレッチを行ったあとコアトレーニングを開始します。コアトレーニングのメニューは、図の中から自分に合ったものを選びます。レベルに合ったトレーニングだとその姿勢を保てるものです。少しでもバランスを崩してしまうものは適していません。

7つのポジションをそれぞれ30秒程度を5回、それぞれ可能な限り繰り返し、合計25分間行いました。
それを6週間行った結果は、腰痛の程度を示すVASが6.9から3.5に改善しています。また、腰痛に対するいろいろな質問(長く歩けますか?日常生活に腰痛は影響しますか?など)をするテストも6週間後は改善していました。
「コアトレーニングは腰痛に対して効果的」との報告は以前からありましたが、今回の研究ではコアトレーニングのレベル分けをしてあるのが新たな知見です。不適切なトレーニングを続けるより、自分に合ったトレーニングを選択し実行することでより腰痛改善を狙えるようです。

*1 コアトレーニングとは身体のコア(核)となる脊柱(体幹)に近い部分から意識的、優先的に鍛えるトレーニング様式のことで、インナー・マッスル・トレーニングともいう。
体幹筋にあたる腹横筋(ふくおうきん)、多裂筋(たれつきん)、横隔膜(おうかくまく)、骨盤底筋(こつばんていきん)などを集中的に鍛えることによって身体バランス、「動き」を改善する。 コアトレーニングのイメージとして「フルカン」「リング」「ニュートラルスパイン」などが使われる。
体幹部を鍛えることで、多くの競技に通じる、汎用性に富んだ筋力向上を図る。 筋肉は本来、体幹に近い部位ほど大きく高出力に出来ているため、運動能力への寄与も大きい。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0

*2 VASとは、Visual Analog Scaleの略であり、目的としては痛みの強度を測定するものである。 また、視覚的評価スケールとも呼ばれる。 紙に10cm(100mm)の直線を書き、その左端に0、右端に100の数値を記入した測定スケールを用意する(10ごとに数値を記入する場合もある)右端の10はこれまで経験したことのない痛み、左端の0は全く痛くないと設定し記載してもらいます。

(1) The Effect of Lumbar Stabilization and Walking Exercises on Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31261549/

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中年の肥満男性の腰痛は、〇〇トレーニングで治しましょう
結論:水中トレーニンング

中年になると肥満気味になる患者さんも多いかと思います。そして、肥満は腰痛の原因にもなるので、肥満と腰痛の両方に悩む方も多いと思います。今回は、そのような方に対してどのようなトレーニングが有効か、という研究報告(1)があったので紹介します。

36名の中年男性 平均年齢は62.3歳、平均身長は163.1cmの腰痛症患者、体脂肪率は35%以上の方を対象としています。36名のうち18名は何もしないコントロール群、残りの18名は水中トレーニング群とします。

水中トレーニング群は4ヶ月間行って、3ヶ月以上症状が続く方は1週間に3回(1回に60分間の水中トレーニング)、運動の負荷が最大酸素摂取量*の40から50%の負荷量で行いました。トレーニングの内容は、15分間はストレッチ(関節の大きな筋肉を中心に)。そして水中ウォーキングを前・後・側方、水中でジョギングなどを行い、またスクワット・自転車こぎの様な運動も行います。

結果は、水中トレーニング群は明らかに歩行速度が改善しています。体重は平均83.5キロから79.2キロに減少、体脂肪率も平均37%から32.6%に減少しました。そして、腰痛も改善したとのことです。

肥満になると、ひざ関節や股関節、足関節などの体重がかかる部位に負担がかかるので、激しいトレーニングはなかなか出来ません。しかしながら、このような水中トレーニングだと、関節に負担がかかりにくいので有効かと思います。

今回の研究ような運動(水中で60分間)はなかなか難しいと思います。しかし、 関節に負担かけないように安全にできるトレーニングとしては、プールでのトレーニングはいいと思います。「プールがいいのはわかってるけど、なかなか時間がなくて…」と言われる方もいるかと思います。プール以外にも
足の関節に負担かからないトレーニングもありますので、後々紹介していきたいと思います。

*最大酸素摂取量とは
私たちは呼吸をすることで酸素を体内に取り入れ、酸素を利用して糖や脂質を分解することで運動エネルギーを作りだしています。運動強度が高くなったり運動継続時間が長くなったりしても、体内に十分な酸素を取り入れ利用することができる能力が全身持久力です。そのため最大酸素摂取量は全身持久力の指標として用いられます。
 最大酸素摂取量は1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量(ml/kg/分)を示し、「VO2max」(Volume〔量〕、O2〔酸素〕、max〔最大値maximum〕)と略記されます。
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tairyoku-kiki/sanso.html

(1) The Effect of Water-Based Aerobic Training on the Dynamic Balance and Walking Speed of Obese Elderly Men with Low Back Pain
Khadijeh Irandoust, Morteza Taheri, Javad Shavikloo

http://www.sleepandhypnosis.org/ing/abstract.aspx?MkID=257

 

 

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いつでもできるウォーキングは腰痛に効果的??
結論:早歩きなら効果的

外来腰痛患者15名に対して、歩行は有効かどうか?を調査した研究です。腰痛の程度は、Visual Analog Scale(VAS)*で4以上を対象としています。激痛でく、中等度の痛みを感じる患者さんです。慢性腰痛は「3ヶ月以上続く腰痛」と定義しています。整形外科に受診する患者さんで、3ヶ月以上症状が続く方は少なくありません。

その方々に30分間複式呼吸をしながら、平らな道を早歩きしてもらいました。それを週5日、6週間続けてもらうと…

結果
調査前の痛みはVASで6だったのが、6週間後は3.6まで下がりました。また、腰痛に対するいろいろな質問(長く歩けますか?日常生活に腰痛は影響しますか?など)をするテストも6週間後は改善していました。

ただ歩くだけでは今回の研究のような結果を出すことは難しいと思いますが、『早歩き&腹式呼吸』は効果ありそうです。いきなり早歩きで30分歩くのは大変なので、通常の散歩の中に早歩きを取り入れると、無理なく続けられるのではないでしょうか。

*VASとは、Visual Analog Scaleの略であり、目的としては痛みの強度を測定するものである。 また、視覚的評価スケールとも呼ばれる。 紙に10cm(100mm)の直線を書き、その左端に0、右端に100の数値を記入した測定スケールを用意する(10ごとに数値を記入する場合もある)右端の10はこれまで経験したことのない痛み、左端の0は全く痛くないと設定し記載してもらいます。

The Effect of Lumbar Stabilization and Walking Exercises on Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31261549/

 

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ストレッチって慢性腰痛に効果あるの?
効果はあるようです。時間かけて頻度よく行えば。

腰痛は以前から、患者さんが訴える症状の中では男性 1位、女性 2位に入る症状として報告されています。国民病というべき腰痛症ですが、この痛みをとるためにストレッチは効果あるかどうか検討した報告(1)があったので紹介します。

対象は15名の慢性腰痛患者さんです。慢性腰痛なので3ヶ月以上続く腰痛です。対象の方の痛みの強さはVisual analog scale(VAS)という指標で約6.8です。VASとは、主観的な痛みを客観的に表す方法で、10はこれまで経験したことがない痛み、0は全く痛くない。として患者さんに数字で今の痛みを教えてもらうものです。6.8はかなり痛い状態ですね。

引用:The effect of lumbar stabilization and walking exercises on chronic low back pain
A randomized controlled trial
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6616307/

この患者さん達にストレッチ(図を参照)を週5回、6週間行ったら約6.8の痛みが、約3.7まで軽減していました。ストレッチはご存知の方も多いと思いますが、時間をかけて頻度よく行えば慢性腰痛に対して効果的のようです。

*今回、神経痛による足の痛みや筋力が落ちている方は除外しています。あくまでも神経痛のない慢性腰痛に対してなので、座骨神経痛がでている方は、今回紹介したストレッチは適応ではない可能性があるのでご注意ください。

(1) The effect of lumbar stabilization and walking exercises on chronic low back pain

A randomized controlled trial

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6616307/

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