おはようございます。今回は、このブログでもちょくちょく紹介している発育期腰椎分離症関係についての記事です。僕の友人の元、船橋整形外科で現在、広尾整形外科の理学療法士の石谷勇人(いしたに はやと)先生の論文を紹介させていただきます。石谷先生も腰椎分離症の研究をされていて腰椎関係の学会ではいつも情報交換させていただいています。とても優秀でイケメンの先生です。
発育期腰椎分離症患者さんは、多くはスポーツ選手です。しかし、腰が治るまでには、数ヶ月コルセットをしてスポーツを休まないといけません。数ヶ月もスポーツを休んでしまうと体力低下はどうしても避けることはできません。治療の最大の目標は、腰を治すことですが、その次の目標はスポーツに復帰することです。我々理学療法士は、「スポーツ完全復帰」をより考えていかなくてはいけません。
今回、石谷先生は、発育期分離症患者さんに対してコルセットで治療中にリハビリテーションを行い治療成績を調査されています。発育期腰椎分離症患者さんには朗報な内容です^^
対象の患者さんは発育期腰椎分離症(今回は片側第5腰椎分離症患者さんです)と診断され装具療法を行った37名です(全てスポーツ選手)。この37名を装具療法のみを行ったグループ17名と装具療法と早期からリハビリテーションを行ったグループ20名に分けて調査しました。
*装具療法とリハビリテーショングループはのリハビリテーションは、ストレッチと患者さんの状況をみながら、足の筋トレ、体幹の筋トレ、エルゴメーター(トレーニング用の自転車)などを行っています。
*ここについてはご自分で判断せずに、必ず主治医の先生、理学療法士の方の指示に従ってください。
検討項目
1装具期間(装具療法を行った期間)
2装具療法終了からスポーツ復帰までの期間
3癒合率(腰が治ったかどうか)
結果
1の装具期間については、両グループに差はありませんでした。
*リハビリテーションをしたからといって装具療法の期間が伸びることはなかった=リハビリテーションが治療を遅らせてしまうことはない
2の装具療法を無事に終了してから、スポーツ復帰までの期間は、装具療法のみグループは29.3日,装具療法とリハビリテーショングループは19.9日で、装具療法にリハビリテーションを加えた方が、装具療法が終わってから早期にスポーツ復帰が可能だった。
3癒合率については両グループの癒合率は差はなかった *装具療法中でもリハビリテーションを行っても治療成績に影響しない=リハビリテーションをしても大丈夫
発育期腰椎分離症は、腰の疲労骨折から骨折してしまう病気な為、これまでは腰が動かないようなしっかりした装具で固定して安静が主流でした。当院でも、患者さんの状況に合わせて装具療法を行いながらリハビリテーションを行っています。今回の石谷先生の報告は、今後発育期腰椎分離症のリハビリテーションを進めていく上で大変参考になる内容でした。リハビリテーションを行った方が、スポーツ復帰までの期間が短縮されるというのは、選手にとってはとても朗報だと思います。これからも石谷先生と情報共有して、質の高いリハビリテーションを患者さんに提供していきたいです。僕も論文を出せるように頑張ります。
*発育期腰椎分離症は、診断から治療まで長期間に及びます。まずは病気の早期診断が第一歩です。その次のリハビリテーションについても細心の注意をしながら運動を選択していかないといけません。患者さんご自身だけで行えるリハビリテーションではないので、ぜひ整形外科の医師の先生にまずはご相談ください。
引用
石谷勇人ら腰椎分離症を呈する成長期スポーツ選手の競技復帰状況. 日本リハビリテーション医学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/advpub/0/advpub_20018/_article/-char/ja/
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